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隣人中毒  作者: ジャスミン弐式
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敏子

12.

 最後に父と会ったのは2年以上前。

 敏子は机の上に飾った、父親と二人でフレームに収まった写真を見る。

 あの時はたしか、ファミレスでグラタンを食べ、本屋に行き学級文庫の人気シリーズの最新作を買ってもらい、服屋で服も買ってもらった。

 それからちょっと離れたところに新しくできた、アスレチックに連れて行ってもらった。

 大きな木製のジャングルジムが目玉だ。

 敏子はそのジャングルジムから落ち、頭皮がぱっくりいった。

 出血の多さに父親は慌てふためき、敏子は大泣きした。

 

 それが妙子の逆鱗に触れた。

 監督の不行き届きを理由に、親子の面会を禁止した。


 以来、敏子は父に会っていない。

、父と会うと、母には禁止されている市販のお菓子をこっそり買ってくれるのが嬉しかった。

 また父と遊びに行きたい。

 アスレチックも、怪我をするまでは本当に楽しかったのだ。

 怪我が治ったらまた行けると思っていた。

 

 部屋の窓からターザンロープが見えた。

 ターザンロープ…。近所の公園にはないものだ。

 あの大きなアスレチックならきっとあっただろう。

 敏子は父との思い出を求めるように、ふらふらと自室を出ていた。


 隣の山の公園の端まで来ると、「私有地立ち入り禁止」のロープが行く手をはばんだ。

 ターザンロープはその向こうにある。

 敏子は勇気をもって、そのロープを乗り越えた。


(一回遊ぶだけ。見つからなければ、怒られないよね)


 敏子はターザンロープを端まで引き寄せると、勢いをつけてしがみついた。



13.

「妙子さんってこういうの好きそうだから}

 そう言って誘われた、公民館で行われるバスボム教室。

「最近すごく流行ってるんですって」

 それは知っている。

 田舎のくせに、たまには洒落たこともするもんだと妙子は感心した。

 バスボム教室。ずっと行きたいと思っていた。

 調べても市街地ばかりで近所で全くやっていなかったのだ。

 妙子はそのバスボム教室で、10個ものバスボムを作成した。

 バスボムを入れたエコバックを提げて、ほくほくしながら帰り道を歩く。

 これで大分楽しめる。

 独り占めするのもどうかと思った。

 敏子にも使わせてあげよう。

 バスボムは、溶けるときが一番楽しいのだ。

 これを機に、女の子らしいことに興味を持ってくれるかもしれない。

 そうだ、そうしよう。

 妙子は一人、笑顔になった。

 そんな妙子の横を、風のように救急車が駆け抜けていった。


綾はちょっと鈍いだけで、聖人とまではいかないが、無害な人間でした。

が、島田家のせいで最後は畜生道へ堕ちました。

いじめ、いやがらせはそれだけの破壊力を持っています。

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