表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/10

2章-8

千羽西駅前通りはいつも人通りが絶えない。平日の昼間であってもそれは同じことのようだ。営業のサラリーマンらしき人物がせわしなくカバンの中をかき回している姿や気ままにコーヒーショップへ入っていくマダム。垣間見える社会の構図に苦虫を噛み締めるような気持ちでいると、前を歩いていた理奈が足を止めた。


「ここにしよ!」


練は目を疑った。目の前にあったのは牛丼屋だった。

普通なら、女の子ってパスタとかドリアとかそういうちょっと洒落たものを提案してくるものだと思っていた練にとって、牛丼という彼女の選択は理解の範疇を超えていた。


「おまえ、正気か」


練が思わず口にした一言に理奈はすかさず反応する。


「言ったでしょ、フィーリングだって。今はパンケーキとかそういう気分じゃないのね。それにーーーー」


「それに?」


「やっぱり何でもない。気にしたら負けよ」


そう言って、理奈が静かに笑う姿はどこかで見たことのある表情だった。優しく格好いい彼女の面影が脳裏をよぎったが、すぐさま振り払う。


「じゃあ入るか。どうせ俺のおごりだ。安いに越したことはない」


練は自ら進んで店内へと進んだ。理奈も後ろからついてくる。入り口側にある食券を素早く購入すると、店内を見回した。平日の昼間の割には寂しい客入りである。適当に席を選んだ練の隣に食券を購入してきた理奈が座る。ほのかに甘い香りがした。いつもの理奈とは違う。しかし甘い香りの女の子とも違う、新しい香りだった。

すると、理奈が突然口を開いた。


「女の子ってさ」

「練くんが思っている以上に普通なんだよ」


練が理奈の表情を伺おうと横を向いたものの、ちょうどいい角度で彼女の表情が見えない。


「それってどういうーーーー」


言葉を遮るように注文した牛丼がテーブルの上に置かれた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ