8~アーリア サイド 2
理由・・・
この子を中央に送るもっともらしい理由。
通常の理由ではこの子を推薦するのは無理ですね。
この子はけして落ちこぼれではない、むしろ優秀な方ですが、残念ながら欠陥品という評価をうけています。
通常の理由での推薦は不可能です。
・・・では通常ではない理由、普通はないだろうという理由ではどうでしょう?
ふむ・・・悪くないかもですね。
普通ではない理由、ありえない理由・・・
・・・保護ですかね・・・
・・・ええ、そうですね、保護が一番もっともらしいですかね。
この子はこのままこの大陸にいても働く場所もなければ、身を守る術もないです。
魔人族は、魔術の使えない他の氏族を下に見ますから、魔術の使えないこの子にはこの大陸は生きずらいでしょう。
魔術の使えないこの子は、魔人族の社会には簡単には受け入れられないでしょう、そうなればこの子は長くは生きられないんじゃないでしょうか。
孤児院を出て教会の庇護下を離れれば、ろくなことにはならないのは目に見えています。
この子を保護し別の大陸で生きる道を探させてあげたい。
と、こんな感じでしょうか?
私も表向き福祉や慈善事業に熱心な、やさしい、慈悲深い司祭ということになっていますのでそれほどおかしな理由にはならないでしょう。
まあ詳細は、あとで他の者たちと詰めるとして、こんな感じで何とかなるんじゃないでしょうか。
さて、シロ君は・・・
混乱しているようですね。
まあ仕方がないでしょう。
いきなり先ほどのような話をされれば仕方がありません。
それに同志となる資格をもっているのなら、今の話は魂に刻まれる話ですからね。
理解できなくても、魂に刻まれる。
まあ、確実に混乱しますね。
私もそうでした。
もう、百年以上前の話ですが、あの時の混乱は私にはなかなかに不快でしたね。
当時の私はまだ数十年しか生きていない若造でしたし、当時の魔人族の価値観で生きていたところに、価値観を否定されるような話を刻まれるんです。
理由のわからない不快感と同時に、なんとも言えない解放感に侵されていく。
しかし私には不快感の方が強かったと記憶しています。
ええ、あの時は、それはもう不快でしたね。
その後、教会に属し、洗礼を受けなければ、あの不快感は今も残っていたかもしれません。
まあ、今ではあの不快感の正体もわかっていますし、必要な、まあ良い思い出とも言えなくもないのですがね。
まあシロ君と、今年のもう一人の有資格者であるウィルがどう思っているかはわかりませんが、素直に受け入れてくれることを願うばかりです。
ああ、そういえばウィルの洗礼は済ませましたが、シロ君はまだですね。
う~ん、まあ中央に送ってからでもいいでしょう。
誰かに行ってもらえるよう、一筆書いておけばいいでしょう。
さて、やることが増えましたし、シロ君に話をしましょうかね。




