7~アーリア サイド ~
アーリア様=司祭様
・・・なぜ私は今話したのだろう・・・・
今の話は、この世界の真実に触れる話。
この世界の最大の問題。
終わらない争いと、流れ続ける血の話。
自らが生きるために、子である人類に数千年にわたり争い続け、血を流し続けることを強要してきた神々の話。
決して表には出ず、薄暗い影の中から人類を操り、血を吸い続けてきた下種どもの話。
そう、この話は私たち教会の真の目的である人類の解放にかかわること。
これはだれにでも話せることではなく、同志にしか話せぬこと。
これは万人が知ってはいけないことである。
資格なき者がしれば、魂に打ち込まれた神への服従という楔により人格を失い魂を砕かれ、永遠に神の奴隷にされかねない。
神に関する真実とはこの世界の禁忌なのだ。
・・・なのに私は今この子に話してしまった・・・
・・・だが、そう・・・
・・・そういうことなのでしょう・・・・
・・・そうなのです。どう考えてもそれ以外に結論は出てきません。
この子もまた我々の同志たる資格を持つ者。
その魂に楔を持たず、真実に触れる資格を持つ者。
何らかの役割を持ってこの世に生まれし者なのでしょう。
だからこそ、この子を我々の同志とするために、私の口は今真実について語ったと、そうとしか考えられません。
・・・・しかし大丈夫でしょうか・・・・
この子は孤児院で、つまり私の庇護下で育った子ですが、正直に言って何も期待していませんでした。
というよりも、その瞳が紅くなければ本当に魔人族かと疑うほどの出来損ないだと思っていました。
はっきりといって教会の庇護下になければ、この年まで生きていなかったでしょう。
この子に関しては悪い意味でしか印象がありませんでしたし。
その悪い意味も、この子のにあるたくさんの長所を覆い隠してしまうほどの欠点があるせいです。
その欠点は主に出来損ないという意味です。
別に頭が悪いわけではない。むしろこの年齢にしては思慮深く、よく物事について考えられるほうでしょう。
体を使うことも苦手ではないですし、むしろ魔術による身体強化がない分、純粋な身体能力は高いほうです。
見た目に関しても、悪くはなく南方系の枝族の血か、黒髪に浅黒い肌をし、目鼻立ちも悪くない。魔術による身体強化がないことを補うために、体もよく鍛えられ引き締まっています。
そうなのです、ベースは決して悪くないのです。
・・・悪くはないのです。
が、この子は魔術に関してはまったく、何の才能もない。
才能がないどころかその出自を疑うほどに魔術が使えない。
はっきり言って魔人族としてはあるまじきことであり、完全な欠陥品だといえますし、そう思っていました。
そんな子が資格を持っている。
・・・本当に大丈夫でしょうか?
同志になるということは、人によってその役割は違うとはいえ、神を排除し、人類を解放するための戦いに身を投じるということです。
直接戦うことがなくても、命を賭けてもらうことには変わりはないのです。
そんな戦場の様な場所でこの子ははたして生きていけるのか?
我々の同志としての役割を果たせるのか?
戦う力を持たぬこの子で大丈夫なのか?
心配です。
心配ですがそれを考えるのはおそらく私の役割ではないのでしょう。
いままでこの子の資質に気付けなかったことからも、おそらくこの子を導くのは、私の役目ではないのでしょう。
この子の言うとおり、この大陸にこの子を置いていてもおそらく何の役には立たないでしょうが、別の大陸でならどうでしょう。
私の手元に置くよりも、中央大陸に送り、大聖堂にて資質を見極めてもらうべきでしょう。
この大陸を出たいというこの子の望みとも一致しますし、この子の未来も開けるかもしれませんね。
さて、そうと決まればどうしましょうか?
中央大陸に送るには何らかの名分が要りますがどうしましょう?
今年の奨学枠はすでにウイルに決まっています、となると私の推薦をつけるのが一番ですね。
なにか適当に推薦理由をでっちあげる必要がありますね、下手な理由では神の使徒を名乗る奴隷どもに感づかれるかもしれません。
さて、なにかうまい理由を考えなければ・・・




