18~11番隊~
「見ることを許可する。」
声とともに視界が戻る。
「ここは・・・?」
目の前には門がありその前に黒ずくめの人物が立っている。
「よう新入り。
お前を今からうちのボスのところに連れていく。
視界は返すが、体の自由はもうしばらく預からせてもらうぞ、もうしばらくは我慢してくれ。」
黒ずくめが言う。
うん、黒ずくめなんだがさっきまでの、おそらく僕自身の格好とは少し違う。
基本的には同じようなんだが、細部が違っている。
一番大きな違いは仮面だろう。
さっきまでの黒ずくめの仮面は真っ黒なのっぺらぼうだったが、目の前の人の仮面は顔の右半分しか覆っていない。
覆っているほうは鬼?というんだったかそういった恐ろし気な魔物の顔をしている。
残りの反面は素顔が覗いているが、瞳の色からすると人族のようだ。
「ついてこい。」
体がまた勝手に歩き出す。
門をくぐると木造?だと思う建物の中だった。
首が自由に動かないため視線だけを周囲に走らせる。
床や柱は木造に見える。
壁はなんだろう?
白いがよくわからない。
少なくとも見慣れたレンガや石壁ではなさそうだ。
廊下はかなり幅がある。
おそらくは部屋があるのだろう、廊下の左右に引戸がいくつも見える。
しかしなんだろう、建物はかなり大きな物に見えるのに人の気配を感じない。
「ここだ、ボスは気が短いからな。
できるとは思わねえが機嫌を損ねんなよ。
まあ失礼がない様に気をつけな。」
「ボス、新入りを連れてきやした。
入りますぜ。」
引き戸がスッと開き体が室内に進む。
室内は正面と左右に大きな机があり3人の男が座っている。
正面の男の背後には額縁があり【見敵必殺】と書かれている。
左右の男の背後には棚があり書類が乱雑に積まれている。
書類仕事をしていたらしい3人が室内に入ったこちらを見ている。
正面の机には老齢な男が座っていて、左右の机には若い男が座っている。
老齢の男はかなり大柄で座っていても体格の良さがわかる。
綺麗な白髪を後ろに撫でつけ、整えられた見事な髭を蓄えている。
なんというか、ヤバイ。
上手く説明できないが、ヤバイのはわかる。
彼らは仮面をつけていない。
瞳の色から正面の男は魔人族、左右の男は人族と獣人族だ。
左右の男達も体格がよく、そうとうに鍛えているのが見てわかる。
戦えば間違いなく負ける、とそう確信できるくらいに強者の気配がある。
だがそれでも、うん、正面の男がヤバイ。
左右の男達とは格が違う。
座っていても一瞬でも目を逸らせば殺される。
凶暴な魔獣と向かい合っている。
体が自由に動くなら迷わずに逃げ出したい。
殺気があるわけではない。
でも気を抜くと殺される。
本能がヤバイと叫んでいる。
生存本能が刺激されまくって今すぐ逃げ出したい。
もし糞尿を撒き散らしながら命乞いをして助かるなら今すぐにやる。
正面にいるのはそういう相手だ。
「おう、新入りか。
俺が11番隊隊長ガーランドだ。
まあ励みな。」
なんというか短い言葉一つ一つに圧がある。
言葉を聞いているだけで心臓が止まりそうだ。
なんなんだこのプレッシャーは。
目の前にいるのは本当に人間か?
これまでの人生かフラッシュバックしてきた。
ああ、これが俗に言う走馬灯というやつか?
人生やっと良くなりそうな、俺の人生はこれからだと思ってたんだが。
意識が遠くなりそうだ。
というか死にそうだ。
俺ここで死ぬのかな?
「じゃあ隊長、顔見せも済んだんで新入り連れてきますぜ。」
「ああ、ご苦労さん、下がんな。」
体がまた勝手に動いて部屋から出て行く。
生きて出てこれた、、、
生きてるって素晴らしいな。




