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黒の代行者  作者: たまたまご
18/19

17~はじまり~

水底にいる

水底に横たわり、ぼんやりと水面を眺めている

すぐ横をキラキラと輝く泡が水面に向かって昇っていく

近いような遠いような水面に向かって昇っていく

明るい光が水底まで差し込む

光を遮るように大小の影が横ぎっていく


ああ・・・なんてきれいなんだろう

ああ・・・なんて満たされるんだろう

そう、ここにはすべてがあるんだ




・・・・・遠くから声が聞こえてくる。

眠りから覚めるように意識が覚醒していく。

やや暗い部屋だ。薄暗いというほどではないが少し暗く感じる。


「ここは・・・?」


知らない場所だ。

やや暗い部屋で僕は椅子に座っている。

周りには同じように椅子に座る黒ずくめの集団

何人かは眠っているのかうつむいているが、他は僕のように周りを見回している。

ただその恰好は異様だ。

黒ずくめといったが皆一様に黒のローブ着てフードもかぶっている。

ローブから見えている手足も黒の手袋に黒のブーツと、完全に黒一色だ。

黒ずくめの集団も十分に異常なんだが、とりわけ異常に思えるのが、その黒ずくめの集団が全員仮面をつけていることだ。


・・・まてよ、ここにいるということは僕も同じ格好をしているのか?

あわてて自分の格好を確認するが真っ黒だ。

黒ずくめでおそらくは仮面もつけている。


「な、なんだこれは」


おもわず声が出た。

出たはずなんだが、なにか違和感が・・・



立ち上がれない?

立ち上がろうとするが立てない。

体が動かないわけではない。

手や足は動くし力も入る。

体に力も入るのになぜか立てない。

おかしな姿勢をしているわけでもなく、体を拘束されているわけでもないのに、なぜか椅子から立ち上がることができない。


なんだこれは?

手足を動かしてみる。

指まできちんと動く。

力も入るし指先までの感覚もある。

手足は動くし感覚もある。

胴体も動く。

動くし感覚もある。

でもなぜか立てない。

手足は座った姿勢ではあるが自由に動く。

胴体も捻ったり曲げたりと動く。

椅子に拘束されているわけではないの、立つという動作だけができない。

本当になんなんだこれは?


周りを見渡すと周りの黒ずくめ達も同じようにもがいているか周りを見渡しているかだ。

もう眠っていている者はいないようだ。

だが、なんだろう・・・声がしない?

そうだ、周りには少なくとも20~30人の黒ずくめがいて、椅子の上でもがいているのに何の声もしない。

物音はしているのに、声がしない。

僕の声は?

近くの黒ずくめに呼びかける。

・・・聞こえていない?

かなり大きな声で、最後のほうはあまり良くない表現で呼びかけてみたが反応がない。

なんだこれは、本当にこの状況は何なんだ。



「さて、全員目を覚ましたようなのでこれより指示を与える。」


声がした。

声がしたと同時に体が勝手に姿勢を正した。

そう、体が勝手に動いた。

だが体が勝手に動いたのはおそらく僕だけではない。

視界に入る位置にいる黒ずくめたちも皆姿勢を正している。

さっきまでジタバタともがいていたのにだ。


・・・状況は分からない。

今は体は全く自由が利かない。

かろうじて動かせるのは視線くらいだ。

さっきの声は指示を与えると言った。

ならばここからなにかしら状況が動くのか?


「諸君等は今混乱しているだろう。

今諸君等の体は我々が動かしている。

諸君等への聖別は無事完了した。

諸君等は今様々な疑問を感じていることだろう。

その答えはこれから諸君等が向かう先で解決される。

今は体の動く通りに進みたまえ。

我々は諸君等を歓迎する。

新たな同志たち。

新たなる黒の代行者候補たち。

我々は先達の黒の代行者として諸君等を歓迎する。」


体が動き出す。

まだ勝手にだが立ち上がり、歩き始める。

歩き始めてすぐに視界が黒く染まり何も見えなくなった。

何も見えないまま、体は何の迷いもなく歩き続けている。


歩き始めてから10分ほどだろうか、体が止まった。


「よう、お前がうちに配属になった新人だね。

ようこそ11番隊へ。」







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