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黒の代行者  作者: たまたまご
16/19

15~1カ月半~

「さて、シロ君とウイルにアーリア様からの指示を伝えるよ~」


ウイルの部屋に移動した僕らにさっそくトウ様が切り出してくる。


「君ら二人はこれからの1カ月半、この部屋で一緒に生活してもらうよ。

一緒に生活しながら、ウイルはシロ君の護衛をするんだよ。

もちろん儂と儂の部下たちも陰から護衛を行うけども、シロ君はウイルと一緒にいる時はウイルに守ってもらうんだよ~

それからシロ君には儂と部下達が、教会の本当の歴史や真実を伝えていくよ。

それと並行して基礎的な戦闘訓練も行うよ。

これは君の適性なんかを測っていくのも目的だからね~

ウイルにはこれまで通りの訓練を続けてもらうよ~

いいかい二人とも、あと1カ月半しっかりとやることをやって旅立つんだよ。」


僕の適正か・・・

僕は何ができるだろう?

僕にできる事・・・

僕にできる事なんてあるんだろうか?

・・・今僕には自分に何ができるかはわからない。

だけどなにかができるかもしれない。

これからの1カ月半、しっかりとやることをやっていこう。


「はい、トオ様。

しっかりと励みます。

ご指導の方よろしくお願いします。」


「おう、シロの事はまかせとけ。

1カ月半しっかりと守るぜ。」


「うんうん、二人ともいい返事だね~

それじゃあさっそく二人とも訓練に行こうかね。

しっかりとやるんだよ~」




--------------------------------------------------------------


それから1カ月半、僕はトウ様達から様々な事を教わった。


世界の事、氏族の事、本当の歴史、そして神についても。

教会の考え。

何を目指し、何を為したいのか。


その中で僕はどう生きるのか。

どう生きたいのか。

そのために何が必要なのか。

考えることも増えた。

全てに怯えて、未来に絶望していた僕がどう生きていくのかを考えられる。

自分で未来を選択することができる。

それはとても幸せな事だと思う。


また訓練を通じ僕自身の適性についても学んだ。

僕は魔人族だが魔術の才能は皆無であること。

しかし才能は無くても僕が持つ魔力量は非常に多いことも知った。

この魔力をどうすれば活かせるのか。

そのために他の氏族の技術を学ぶ。

魔術が使えないならば他の氏族の技術を学び、違う戦い方を学ぶ。

これには僕の価値観や考え方は、魔人族の観念や常識に囚われていた事に気づかされた。

魔術しかない。

魔人族としては当たり前の事だ。

そう考えていたが、そうじゃないことに気づかされた。

僕の適性を調べる内に、僕には獣人族の扱う気功術と、少しだが人族の魔導技術を扱うことができると解った。

新しい技術を学ぶこと。

これは簡単な事ではなく、とても1カ月半程度で身に付くものではなく悪戦苦闘している。


全く違うことを学ぶ。

とても難しく、1カ月半かけても最初の感覚を掴めずにいる。

厳しい訓練を受ける。

でも、とても楽しい。

できないと思っていた事。

何をしてもどうしようもないと思っていた事。

まったく違う方法であっても、できるようになるかもしれない。

そう考えるだけでとても楽しかった。


1カ月半はあっという間だった。

本当にあっという間だった。

新しい事を学び、新しい自分に出会う。

これまでの自分が、人生がガラリと変わる。

新しい自分に生まれ変わるような、そんな1カ月半だった。


僕はまだなにかを手にしたわけではない。

なにを手にできるかもわからない。

だけど前を見て歩いていける。

これからなにがあっても前を見ていける。

そういう覚悟を持つことができた。


今日僕はここから旅立つ。


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