11~ウイルの話~
気がつけば半年近く更新してなかったw
「シロ、けっこうかかったがなんの話だったんだ?」
司祭様の執務室を出たところで外で待っていたらしいウイルに声をかけられた。
「・・・・」
「っておい、シロ。お前なんか泣いてないか?」
「・・・・え?」
慌てて顔を拭うがまだ涙が止まっていなかった。
執務室を出る時も僕はずっと泣いていたということか。
「シロ、大丈夫か?
なんかまだ泣いてるみたいだが、なんかあったのか?
それともどこか痛むのか?」
「あ~ウイル、いいんだ、どっか悪いとかではないんで、ちょっと落ち着くまでまってくれないか?」
手でウイルを制しつつ頼む。
しかしこんなに泣いたのは、いや涙が止まらなくなるなんてことは初めてだ。
命の危機を感じるようなきつい経験をしたことも、実際に殺されかかったこともあるけども、涙が止まらなくなったのは初めてだ。
涙は弱みだと、弱みを見せれば生命に関わると、泣いてはいけないんだと歯を食いしばって生きてきたけども、こんなに満たされた気持ちで涙を流すことができるなんて考えたことがなかった。
涙を流すことで、泣くことでこんなにも心が救われるなんて知らなかった。
・・・まだ止まらない涙を止めよう。
今日僕は生きることを許されたんだ。
涙で滲んだ目で世界を見るのはもったいないじゃないか。
これからどうなるかはわからない、でも希望は見えたんだ。
なら涙を止めて前を見よう、この世界を生きて行こう。
「ごめんウイル、もう大丈夫、落ち着いた。」
なんとか涙を止めウイルに告げる。
「ああ、まあ大丈夫ならいいんだが。
ほんとに何があったんだ?お前が泣いているとこなんて初めて見たんだが。
司祭様になにか言われたのか?それともやっぱどこか悪いのか?」
「ああ、いや本当にいいんだ。大丈夫。
ちょっといろいろとあってね。どこも悪かったりはしないよ、本当に大丈夫だから。
・・・心配してくれてありがとう。」
「まあシロが大丈夫というなら信じるが、何があったかは話してくれるんだろう?」
「・・うん、話すけども、ちょっと場所を変えてもいいかな?
あまり他の奴らには聞かれたくないんだ。」
「ああいいぞ。じゃあ俺の部屋でいいか?」
「うん、助かるよ。」
ウイルは奨学生に選ばれるほど優秀で、この孤児院の中で特別に個室が与えられている。
彼の部屋なら他の人に話を聞かれることはないだろう。
下手な奴に話を聞かれると、何をされるかわからない以上2人になれるのはありがたい。
「さて、いらっしゃいませだな。
んで、何があったか話してくれるんだろう?」
「ああ、そうだね。
うん、その、なんて言えばいいのか・・・自分でも正直まだ混乱してるというか、これは本当に現実なのかって疑ってて。
そのだ・・・その、僕も君と一緒に中央大陸に行って、神学校で学ぶことになったんだ。」
さすがにかなり驚いている様子だが、そのまま司祭様との話の内容をウイルに伝える。
「う~ん・・・
あ~でも、うん、そうか・・・そうなったか・・・
そうか・・・
うん・・でも納得かな。」
「・・・正直に言うなシロ。
正直驚いたが、でもある意味で俺は納得してるんだ。」
「・・・俺にはな、ある力がある。
司祭様によると未来視っていうものらしいんだが、まあとにかく時々俺は未来が見える。
未来視ってだけならまあレアではあるが、他にいないわけじゃない。
でも俺の未来視はちょっと特別でな、普通の未来視はそうなる確率が高いものが見えるだけで、よく当たる占い程度なんだが、俺のは特別で確定した未来が見えるんだ。
司祭様が言うには、俺の未来視は他に適当な呼び方がないんで便宜上そう呼んでいるだけで、本来の未来視とは別物らしい。
俺の未来視は、俺が無意識下で混沌と何らかの取引をし、未来を確定させているんじゃないかって話だ。
って言っても、視えるもの全部が全部確定してはいないみたいで、普通の未来視と同じで確率が高いものが視ている時もあって、完全にコントロールができているわけじゃないんだけどさ。」
「・・・こんとん・・・」
「そう、混沌だ。
司祭様との話でお前は扉を開いたんだろう。
頭での理解は出来ていない、でもそれが真実であることを魂が理解し、その身に刻まれただろう?」
ああ、そうだ。
僕は知ったんだ。この世界の真実を。
「お前は今日から俺たちの同志になったんだ。
そして俺はお前がいずれそうなると思っていた。
俺見た未来視の中で、俺はお前に背中を預け、肩を並べ共に戦っているのを見た。
その中では俺は守護者で、お前は代行者だった。
未来の俺はお前と友として共に戦場に立ってたんだ。
どんなことがあってもお前は俺の友になる。
俺の中ではそう確信があったんだ。
俺はこの未来は確定した未来だと思ってる。
だから俺は、お前を信じ、今まで守ってきたんだ。
だがこれからは本当の友として、肩を並べ、背中を預け、共に戦っていこうぜ。」
・・・・は!?
守護者!?代行者!?
え・・・なにをいってるんだウイルは。
ウイルが守護者っていうのはともかく、僕が代行者!?
は!?だよ。本当に。
代行者ってあれだろ、教会の最高戦力って言われてるあの人たちだろう?
教会の最高戦力で、始原3色の内の黒を司っている人たちだろう。
正直真否を疑うような逸話に事欠かない集団だよな。
・・・そんなのに僕がなれるはずがないじゃないか。
そもそも子どもにすら勝てないんだぞ僕は。
そんなんで戦うなんて無理だろ。




