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黒の代行者  作者: たまたまご
10/19

9~転機~

「いいですかシロ君、現状の確認です。

この大陸を出たいといってもあなたにはその手段がない。

そうですね?」


「・・・はい・・・僕にはその手段はなにもありません・・・」


・・・っく、わかってはいるが言葉に出すとつらい。

自分で自分の死刑判決でも読んでいる気分だ。


「そうですね、シロ君にはその手段はありません。それは理解していますね。」


「シロ君にはこの大陸を出ていくことはできません。

ではシロ君がこのままこの大陸に居続けた場合どうなるか、私なりに少し考えてみました。」


「シロ君がこのままこの大陸にいた場合、そうですね、あまり良いことはないでしょう。

なんとおりか考えましたが、どれも良い結果は考えられませんでした。

大半は若くして亡くなるか、良くてどこかで奴隷のような暮らしをしているか。

どう考えてもそのような、ろくでもない結果しか思いつきませんでした。」


・・・はっきりと言われた・・・・

想像はしてた、わかっているつもりだった・・・・

でも司祭様の口からはっきりと言われるとショックが大きい・・・


僕は顔を上げることすらできずに俯いてしまう。


「ああ、シロ君。

すいません、落ち込まないでください。

私の話には続きがあるんですよ。

せめてそれを聞いてから落ち込んでください。」


司祭様が声をかけてくださるが、僕は顔を上げることができないでいた。


「シロ君・・・

正直に言います、私は君の気持を正確に理解しているかと言われれば、理解はできていないでしょう。

私は君のように魔術が使えないというようなことはなく、むしろ人並み以上に魔術が扱えるほうです。

ですので魔術が使えない君の苦労は正直わかりません。」


「ですがシロ君、君がこのままこの大陸にいた場合どうなるか?

それを考えたとき、君には明るい未来はほとんどない。

それは理解できたつもりです。

私は君がこんなに悩んでいたのも、今日初めて気づきました。

私が直接見ていたはずの孤児院で、こんなにも悩み苦しんでいる子がいたことに気付けずにいたとは、私の不徳と未熟さによるものなのでしょうね。」


「・・・私は君を救おうと考えます。

私の愛する子供達、そのうちの一人であるシロ君を救うこと。

これは私が果たすべき使命でしょう。

愛する子を救うこと、これはあなた達の親である私が果たすべきこと。

これは聖霊に使える私にとって、その御心とその愛にそうことのできる使命です。

そしてこれは私の贖罪でもあります。

私の不徳から君をこんなにも苦しめてしまった。

君の苦しみに、私は今まで気づくこともできなかった。」


「シロ君、私の贖罪を受け入れ、私に聖霊の愛を示す機会を与えてはくれませんか?」


司祭様が僕に近づき、跪き僕の手をとる。


「シロ君、私は君をこの大陸から旅立たせます。

君を不幸にしないため。

君に少しでも明るい未来が開けるよう、君をこの大陸から旅立たせます。

聖霊の御名の下、その愛を示すため。

君を旅立たせましょう。」


俯いていた顔をあげた・・・

目から涙がこぼれている・・・

とまらない・・・・

とまらない・・・

お礼を・・・お礼を言わなければいけないのに、言葉がでない・・・

言葉を出そうとしても、言葉にならない。

ただ、涙だけが流れ続けていく。


「シロ君、どういう理由になるかはまだわかりませんが、君を必ず旅立たせます。

そしてシロ君、君はこの大陸を出て、中央大陸に行くのです。

そして神学校に通うといいでしょう。

そこでしっかりと学び、未来を掴みなさい。」


涙が止まらない・・・・

言葉も出せず、ただひたすらにうなずいていた。



・・・・・僕は今日、生きていくことを許されたのだ・・・・・




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