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一応な関係  作者: aotohana
8/24

彼女の記憶***②

***



「颯…また断っただろ、お前彼女欲しくねぇの?」


「あんま興味ねぇ」


「は!?お前さてはホモ…ってマジ痛てぇよ、蹴んなって」


また窓際んとこたまってる。

久我も友だちと話すように、女子にも接すればいいのに。あんま女子の前だと笑わないよな。



「ちげーし、ふざけんな」


「颯、お前彼女いた時期とかあんの?」


「まぁ一応…他校だけど」


「何それ知らなかった、西女とか?」


「ん…まぁ、そう」


「西女可愛い子多いよな、マジで羨ましい。でも、なんで別れたんだよ?」


「なんでって…、めんどくせぇし」


盛り上がっていた男子たちが凍りつく。




男子たちの反応に私は思わず、吹き出してしまう。ヤバイ…話聞いてたのがバレる。なんとか咳をしてごまかす。久我颯って変わってる。西女と付き合うってクラスの男子の憧れのはずなのに。

男子とはよくつるんでるけど、女子にはそっけない態度だし。







「ねぇ、なんで久我くんモテんのに誰とも付き合わないんだろうね」


昼休み…ネイルをしながら、もっちゃんはマイペースに聞いてくる。



さっき、廊下で1年の子に声を掛けられているのを私たちは目撃してしまった。遠くからでも、彼の不機嫌そうな表情、彼女の今にも泣き出しそうな表情から、いい返事ではないことは明らかだった。




「んー、さぁね、分かんない。あいつ変わってるし」


お腹いっぱいになったら眠い…私はあくびをしながら答える。って…ヤバイ後ろに久我いたじゃん。聞かれたかも…。



「あー、なんかごめん、悪口言って」



無愛想な久我に私はすぐに謝る。だって、いないとこでこういう風に言われんのって気分良くない。



久我は…一瞬また笑ったように見えた。何も言わずに、友だちんとこ行っちゃったけど。よく分かんない…てか、あの不意打ちな笑顔やめてほしい…。





あ…私は目線をそらしてしまう。

彼が通りすぎる間、息苦しさを感じた。


まだ、ダメ…普通にしようって頭では思っても、小さな頃みたいに元通りの幼馴染みにはなれない。

気持ちがおちてしまう。

シン…ごめん。





放課後…。


担任に次の授業で使うプリントを留めとくようにお願いされた。ほんとは、もっちゃんが日直だったんだけど、早退しちゃって…代わりに私がしている。

パチッパチッとホチキスの音だけが響いた。

久我と2人きりとか気まずい。なんか話さなきゃな…。



「ねぇ、久我って彼女いたことあんだよね」


いきなりの私の質問にかなり驚いた様子の久我。


「そうだけど。つか何?いきなり」


「いや…ね、ほら久我って告白されるけど、断ってるじゃん。だから、その彼女のことはすごく好きだったんじゃないかなって…」


あ…しまった、久我すごく嫌そうな顔してる。




「好意」


「え?何?好意って」



「好意もたれんのって悪い気しねぇし、なんとなくで付き合った。けど、だからって誰でもって訳じゃねぇから、簡単に付き合うのやめた」


ばつ悪そうな顔をして視線をそらす久我。

照れてんのかな…分かんない。



「もうこの話題やめね?俺こういう話あんま好きじゃねぇし」


不機嫌そうだよな。


「あ…うん、ごめんね」


私の方が慌ててしまった。





私は…幼馴染みじゃなくて『女』としてみて欲しかった。意識して欲しかった。


けど…付き合っても、幼馴染みのままだった。

優しかったけど触れてもこないし、彼の態度は付き合う前と何も変わらなかった。

結局、彼は元カノとよりを戻した。意地をはってただけで、ずっと想いは消せなかったんだって。じゃあ私は?…なんだったんだろう。



好意?

小さな頃からの関係を壊した私。

彼も私の気持ちを知った時、悪い気はしなかったのかな。困らせてばかりいた気がするけど…。

もし、少しでもそうだったら…嬉しい。



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