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一応な関係  作者: aotohana
7/24

彼女の記憶***


高校2年の秋…颯を意識し始めたのは、ちょうどこの頃だったと思う。



***



またやっちゃった。

男子が私のこと『女じゃない』とか『気強い』とか

言ってんのは知ってる。

けど、友だちが傷つけられたりするのは嫌だし、つい口調も強くなってしまうのはしょうがないと思う。


これでも、ずっと小さな頃から好きな人がいて、女の子っぽくしようと努力したことはあった。

けど、ヒラヒラにふわふわ、甘くて可愛い…そんな女の子に到底慣れるはずもなくて。



あ…嘘、努力が…できてなかったんだ。足りなかった。女の子っぽい服装やしぐさ、態度はどこか恥ずかしくて…私に似合わない。つっぱねてた。




「ねぇ、サユいんのに西女の子となんで合コンの話になってんの?」



「あ…木原、いや、違くてさ…ただ断れなくて、まぁ人数合わせだし、黙ってて、頼む」


手を合わせ必死に訴えてくるけど、ありえないし。

たまたま聞いちゃったサユの彼氏、山口の会話に私は割り込む。


「ムリ。行くならサユに言うし」


「だから…、ほんとお前は融通聞かねぇよな」


「山口、木原に言うだけムダだって。だってこいつ恋愛経験ゼロだから。まぁ、納得だな」


「ケンちゃんに言われたくないけど、私だって恋愛ぐらいするし」


私は二人をにらみつける。

けど、笑われた。



「木原の彼氏とか想像できねぇし、甘えたりできんの?お前?」


……。


「女はもっと可愛い方が男はいいんだって、木原はまぁ俺らは付き合いやすいけど、女として見れねぇしな」



ケンちゃんが笑いながら、ふざけて私の頭をぐちゃぐちゃにする。別にいいけど、女に見られたいわけじゃないし。けど…なんかこんなん言わなくてもさ…。




「ケン、笑い声うるせぇって」


不機嫌そうな低い声が私たちのやりとりを遮る。

山口の斜め前の席…久我颯。



「いや…悪い、木原に恋愛のアドバイスしててさ」


久我颯の視線はケンちゃんから私に移る。

切れ長の瞳…なんか怖い。


「あ…ごめん、うるさくして」


私は気まずくて、とりあえず謝ったんだけど…


「別にお前に言ってねぇし」


視線はもう私にはなくて…


「ケン、俺にも恋愛のアドバイスしろよ」


そう言った久我は、いたずらっぽく今度は笑った。


「おまえ…は十分モテっだろ、嫌味かよ」


結局、男3人でふざけ合っている。

場が和んだような気がする。

もしかして…久我、助けてくれた?




下駄箱んとこで、久我を発見する。

イヤホンをしていたからか、私が大きい声で後ろから声を掛けたら驚いてた。


「おまえ…びっくりさせんなよ…何?」


わ…すごい無愛想なんだけど。

お礼言おうと思っただけなのに…。けど、私の勘違いかも…助けるタイプにはあんま見えないし…。

呼び止めたことを今更後悔する。


……。


彼からため息が1つこぼれた。

何?なんでそんなめんどくさそうなんだろ。


「用ないなら、俺行くけど」


不機嫌そうだし、声も低いし。


「あ…うん、ごめん。ありがとね、さっき」


あ…お礼言っちゃった、なんか変だよね。

私は慌てる。


「別に…。あいつら悪気ねぇとこがたち悪いよな」


え?やっぱ助けてくれたんかな…んー、よく分かんないよ久我って。


「うん、けど確かに2人の言ってること当たってるから」


私は誤魔化すように笑ってみせる。

こんなんなんか気まずいし。


……。


「ま…あんま気にすんなよ、人それぞれじゃね?じゃあな」


一瞬笑ったようにみえた彼は、そのまま行ってしまった。





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