次の日
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俺の部屋
『颯…』
吐息にまじり、木原は俺の名前を何度も呼ぶ。
こんなん、気強ぇって普段言われてても、俺には…。
けど、突然泣き出す。
なんで泣くんだよ…誘ったのお前だろ。
『ごめん…私やっぱりシンが…』
俺は目を大きく見開く。見慣れた部屋の天井が視界に入ってくる。夢!?…。つか頭痛てぇ。
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熱…38.7℃
測んなきゃよかった…。だるさが増し、頭はガンガンと音をたてて叩かれているようだ。
下駄箱んとこ晴紀に声を掛けられた。
「はよ~颯…今日ギリじゃん」
「まぁな…寝坊した」
笑ってみたものの、息が上がる。今日俺こんなんで帰りまでもつのか?
俺の中に「休む」という選択肢はなかった。あいつと別れ話して、次の日に休むとかマジありえねぇし。
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『谷口と付き合った方がよくね?』
木原は昨日俺の提案に…
『…分かった。うん…私シンと付き合うよ』
そう言って笑った。
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あいつのクラスの前…そのまま通りすぎるはずだったのに…俺の視線はどうしても向く。
後ろ姿だけであいつの表情は見えないけど…隣にはいつものように、谷口がいる。
谷口が俺の視線に気づき目が合う。俺は目線を反らし、自分のクラスへ向かった。
☆
保健室…
具合悪いなら休めばよかったのに。
こじらせちゃダメだって、私言ったのに、颯は私の話いつも聞いてない。
「バカ…」
颯は苦しそうに息をしている。
私は保冷剤をくるんだハンカチを額にあてた。
少しは楽になったのかな…彼の表情が和らぐ。
颯はこんなに近くにいても遠い。
お願いして付き合うことになっても、けっきょくダメだったな…
気づいたら、涙がおちてた。
私…いつからこんなん弱くなっちゃったんだろ。