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一応な関係  作者: aotohana
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一応彼氏


颯と…身体だけつなげたって、何も変わらないみたい。

むなしくなる。



「颯…今日さ」


「ん…あぁ、何?」


彼はする前も、した後も何も変わんない。

私とそういう雰囲気になんないって言ってた…のはなんとなく分かる。

いつも面倒くさそうだし…そっけないし。

だったら…付き合うのOKしなきゃよかったのに…。


1度も好きとか言われたことないし…。



「ううん、何でもない。今日もっちゃんたちと遊ぶから、一緒に帰らなくて平気だから」



……。


「谷口も一緒?」


「シン?そうだけど…」


「へぇ…まぁ、楽しんで。じゃ、俺行くから」






「トコ、お前ちょっと元気なくね?また、あいつとケンカ?」


シンが心配して声をかけてくれる。

私…気まずくて、シンと話したくなくて避けてた時期あったのに。昔と変わらずに接してくれる。


またこうして話せるようになってよかった。





「お前なんか機嫌悪くね?」


晴紀がそんなことを言い出す。


「別に。普通だろ」


俺は笑った。





『颯…』


俺を呼ぶあいつの表情…マジ反則だよな。

なんなんだよ、あれ。

手ださねぇって、決めてたのに…最悪。





谷口と木原の関係を知ったのは、付き合ってすぐの頃だった。


木原は男とも変わらずに接するタイプだし、よく一緒にいる男がいるとは気づいても、友達だと思ってたいして気にしてなかった。


けど…


「颯、東子ちゃんまた谷口といるぜ、お前気になんねぇの?」


「別に」


「まぁ、谷口と木原、…幼馴染みらしいし、しょうがねぇか」



幼馴染み?

つかそれって…



「なぁ、俺2年時木原と一緒のクラスだったけど、1度も谷口と一緒にいるの見たことねぇんだけど…」


「あ…あぁ、なんかケンカしてたらしぜ、よく知らねぇけど、最近じゃね?また話すようになったの」



マジかよ。なんだそれ…。

つか、木原がフラれた幼馴染みって谷口だろ。

なんでまた一緒にいれんだ?




「ねぇ、颯、風邪引いた?」


「なんで?」


「んー、なんか声がいつもと違う」


今朝から確かに少しのどが痛かった。


「はい、これあげる。こじらせちゃダメだからね」


リュックの中を探していた木原から渡されたのは、のど飴。なんでこんなん持ってんだか…。


「木原…」


俺が呼び止めると、彼女は振りかえる。


「ありがとな」


木原は答えず、照れながら笑った。





晴紀たちの待つ屋上への階段んとこ、すれ違いざま、谷口に呼び止められた。こいつの強気な視線が俺を苛立たせる。


「何?なんか用?」


俺の変わらない表情に、谷口もまたイラついているのを感じた。


「何じゃねぇだろ、トコのことだよ。お前一応今付き合ってんだろ。もっと優しくできねぇの?」



「一応…な。優しくってさ、お前に言われたくねぇんだけど」


木原がなんで谷口にフラれたのかは知らねぇけど、あいつは泣いてたし…。



「俺さ…トコ傷つくの見んのもう嫌なんだよ」


必死の表情だ…つか未練だらけじゃん。こいつも。

バカみてぇ。



「じゃ、お前が優しくしてやれば?お前にやるし。じゃあな」



ガタッ


谷口に胸ぐらをつかまれる。

なんでこんな熱くなれんだか。


「離せよ」


俺は谷口の手を振り払うと、そのまま屋上に入った。感情にまかせて口走ったセリフ。

のどの奥がじんじんした。痛てぇし…。





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