ほんとのこと
☆
私感情ぶつけちゃって、拒否されることも覚悟の上で送ったメール。送った後、急に怖くなってスマホをもつ手が震えた。だから、颯からの返信メールをみたらまた泣きそうになった。
『俺もごめん。分かった、放課後な』
とりあえず謝って…ちゃんともう1回話そう。
逃げてたら、ナオくんの時のようになってしまう。自分ばっか傷ついた気になって、周り…シンもまきこんで傷つけてた。あん時後悔したはずなのに…また同じことやってしまってた気がする。
☆
「とーこちゃん、もしかして具合悪い?元気ないよ」
もっちゃんにもまた心配かけちゃった。
「あ…ううん、元気。心配してくれてありがとね」
午後の残りの授業は全く頭に入らなかった。
自分で決めたことなのに、放課後のことを考えるとまた不安で押しつぶされそうになった。
☆
「トコ?今日、持田と帰んねぇの?って、お前顔色悪りぃぞ」
帰りの支度してたら、シンに声を掛けられた。
朝からかわれたから、つい小森たちがいないか周りを確認してしまった。
「また、変なこと言われるよ」
「うっせぇ、別に気にしねぇし」
シンはたいして気にしてない様子だった。
「ねぇ、シン…私颯ともう1回ちゃんと話してみる」
帰り支度をしていたシンは、私の言葉に動きをとめる。
「久我…?俺あいつの態度正直ムカつくし、お前傷つくの見たくねぇんだけどな」
シンは私が颯のことで落ち込んでたのとか知ってるから、別れたって知っても、それ以上は触れないでいてくれてた。そういうとこ、いい奴だなって改めて思う
「あ…うん、ごめん。心配かけて」
「まぁ…頑張ってみれば?」
若干ため息が混じりつつも、笑って励ましてくれた。
「うん、ありがと」
★
「東子ちゃん廊下に来てるぜ、まさかおまえ待ち?」
別れたって知ったくせに、わざとからかうように晴紀は言う。
「あぁ、そう。約束してっし。あ、晴紀やっぱ日曜行けねぇわ、俺。悪いな」
つい、淡々と返してしまった。鞄をつかみ、廊下に向かう。
「えぇ~、なんでだよ」
晴紀の悲痛な訴えが教室に響いた。
◆◇
「晴紀…空気読めよ、あいつ東子ちゃんしか見てねぇだろ。ほんと鈍感だよなお前は」
「うっせぇ、タク」
「颯、告られても全部断ってて、けど東子ちゃんは即OK、その時点で分かれよ。女に関してはまぁ、あいつドライなくせに…東子ちゃんの前ではけっこう素だしてるしな」
「え!?そうなの?」
俺が去った教室で、俺らのことを勝手に話してたらしい…。この話題でからかわれるのは、もう少し先になる。
☆
「悪りぃ、遅くなった」
「あ…ううん、平気」
心臓ずっとドクドクいってる。
顔見れないし…やっぱ気まずい…。
「とりあえず、帰っか」
「あ…うん」
☆
久々に並んで歩く帰り道は、私たちの気まずさを嘲笑うかのように、ちらちら雪が綺麗に舞っていた。
「あの…叩いちゃってごめんね、さっき」
「あぁ、別に。お前の当たりそこねだし、もう痛くねぇし」
……。
また会話が終わってしまった。どうしよう…なんか話さなきゃ。言いたいことがあるはずなのに、なかなか言葉がでてこない。沈黙を破ったのは彼の方だった。
「俺、なんかお前怒らすようなことしたか?」
……。
さっきはつい感情的になっちゃったけど、今度はちゃんと伝えなきゃ。素直に…
「えっとね…晴紀くんたちの話たまたま聞いちゃって…颯、5組の子と日曜遊ぶって…」
不安と緊張に負けないようにしどろもどろになって、なんとか伝えたんだけど…
「日曜?あぁ、あれ、俺は行かねぇけどな」
颯は対してきにしてない様子だった。即答。
こっちがびっくりするぐらい。
「行かない…の?」
「まぁ、晴紀は楽しみにしてて俺にも来いっつーんだけどさ、さっき断った」
「で?なんで怒ってんのお前?」
「あ…うん、颯はもう彼女作ろうとしてんのかなって思っちゃって、私のこと関係ないとか言うし…私ばっかって…なんかごめん」
……。
さっきまで即答だった颯の表情が変わる。
一瞬考えたような間があいた。
「木原、俺言葉優しく言えねぇから酷いこと言うと思うけど、お前は谷口とすぐ付き合って自分はよくて、俺が彼女作るの怒るっておかしくねぇか?」
「え?」
「だから、お前ちょっと勝手じゃねぇって言ってんだよ」
「あの…颯、なんか勘違いしてない?私シンと付き合ってないけど」
そんときの颯の顔たぶん一生忘れない。ぽかんとしてた、マヌケな顔。
☆
「は!?ちょっと待て、だってお前谷口と付き合うって」
「言った。だってあんなん言われてショックだし、ムカついたから。けど、それで本当に付き合うわけないじゃん、幼馴染みだし」
……。
説明しても、彼はまだなんか納得いかない表情のままだった。
「けど…谷口お前の元カレだろ、まだお互い未練あったんじゃねぇの?」
はぁ!?
だめだ…びっくりしすぎて私もマヌケな顔してると思う。
「誰が元カレ?シンと?ありえないから。私が好きだったのシンのお兄ちゃんの方だよ」
私と颯の瞳が重なった…お互い頭が混乱してた。
なにがどうしてこうなったのか…さっぱり分からなかった。




