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一応な関係  作者: aotohana
2/24

一応OK?


高1の夏…


照りつける太陽が眩しくて、暑くて…体も心もどこか重苦しさを感じた。その頃…私は気持ちが酷く落ち込んでいて…。小さな頃からの片想いがようやく実ってうかれてた。



けど、結局すぐにダメになった。

悲しいのに泣けなくて…しんどくて。


屋上でぼんやりしてたら…スマホがなった。



『トコ…傷つけてごめんな』



彼からのメール…謝られたらなんか我慢してた気持ちが溢れてきて、涙がこぼれた。

誰もいないはずだったのに…



最悪のタイミングで入ってきたのが、あいつ…久我颯だった。


私のことを見て、驚いた表情に変わる。

私は泣き顔を見られたくなくて…顔を隠すようにうずくまる。



「あ…悪い、俺行くから…泣いてていいよ」


……。


彼はそのまま屋上のドアを閉めて降りていった。

私はようやく顔をあげることができた。息苦しさと、恥ずかしさで顔が火照る。


最悪…。




廊下にたまっている男子の集団の中…久我の姿を見つける。弱いとこなんてホントは誰にも知られたくなかった。だから、彼を見ると泣いた自分を思い出して嫌になる。



彼は笑ってた。

ホント男子ってバカだなって思うぐらいの話題で。


「あ~、早く彼女欲しいよな、そんでさ…」


「やっぱ胸だよな」


「1組の松山とか、女と遊びまくってるらしいよ」


「なぁ、颯…お前もモテんだから、遊ぶのできんじゃね?経験つんどけば?」


最低…大きな声で話してるから聞こえてくるし。

耳をふさぎたくなる。


「バーカ、俺…好きな奴としかやんねぇよ」


私は意外な久我颯の答えに、思わず振り向いてしまった。


「マジで!?颯なに女みたいなこと言ってんだよ」


「うるせぇ」


彼はからかわれて、じゃれあい笑っていた。




渡り廊下。


久我が1人で歩いてくるのが見える。

私は気づかれないように、うつむいて歩く。


「元気?」


すれ違いざま、彼に声を掛けられ驚いて顔をあげる。


瞳が重なって…


でも彼は一瞬笑っただけで…そのまま歩いて行ってしまった。





気の強い奴だって友だちは言ってた。

隣のクラスの木原東子。

けど…ここであいつ、泣いてたんだよな。



「颯…何ぼけっとしてんだよ」


晴紀に声を掛けられた。

屋上でつるんでる奴等と昼飯を食いながらだらけていた。


「いや、別に」





次に見た時、木原は笑っていた。

友だちはたくさんいるっぽい。男の前でも怯まないし、思ったこと言うタイプだから、気強ぇって言われるんだろうな。





高2になって木原と同じクラスになった。

普通に話したりはしたけど、あの屋上でのことにはお互い触れなかった。




「ちょっと、ぶつかったんだから謝ってよ」


木原は田中のグループに文句を言ってた。



「 とーこちゃん、別に平気だよ」


ぶつかった拍子に倒れた持田の方が逆に慌てて立ち上がる。



「けどさ…もっちゃん、腕今机にあたったし…痛くない?」




「木原…ちょっとかすっただけだろ、いちいちうるせぇな」



田中たちはめんどくさそうに言った。確かにあんな風につっかかってこられると、うぜぇよな。

俺らは窓際の席からその様子を見ていた。



「木原も、あんなんつっかかんなきゃいいのにな」


「マジ強ぇ~よな」


「そうだな」


俺もそん時はそう思ってた。



けど…廊下水道んとこ、タオル濡らしてて…持田の腕冷やしててさ…心配そうなんだよな。そんなん見てしまったからか…?


屋上での泣き顔に、あいつの心配そうな顔…。

なんでか調子狂う。





高3になってクラスが別になって…。

すっげ仲がいいわけでもなかったから、かかわりもなくなった。



けど…木原に告られた。

俺のこと好きな様子なんか全くなかったから、正直驚いた。


「なぁ、なんでお前泣いてたの?」


俺はずっと気になっていたことを聞いてみた。


……。


「ちょ…今それ関係なくない?」


「別に…つかちょっと気になってさ」


彼女は一瞬泣きそうな表情になる。



……。



「幼馴染み…付き合ったけど、すぐフラれて…」


「ふーん、で、もうそいつはいいの?」


「…うん」


小さく木原はうなずいた。

こいつが泣くとかよっぽどだよな。


……。


「まぁ、別にいいけど、俺お前と付き合っても」



俺の返事は意外だったのか、木原はすっげ驚いた顔をした。

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