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一応な関係  作者: aotohana
19/24

聞きたくない


身体冷えた…シンも風邪ひかないといいけど。

また迷惑をかけてしまった。


湯船につかりながら、ふと思い出す…

あれ?夢…他にも見たような…なんだったっけ?





「シン、昨日ありがと、風邪ひかなかった?」


「あ~お前のせいでくそ寒かった、死ぬかと思った」


私とシンの会話なんていつもこんなもんなのに…


「なぁ、やっぱお前らってできてんの?」


は!?


私とシン…たぶん同じ顔してる。



「長瀬、お前何言ってんだよ俺ら幼馴染みだって」


「うん、そうそう」


「けどさ~、昨日も夜までいちゃついてたらしいじゃん、2人で」


「シンの家で遅くまで何してたんだよ~もうやることやってんじゃねぇの?」



最悪…。どっかで見られてたのかな…。



「小森…お前もいい加減しろよ、ガキじゃねぇんだから」


珍しくシンがキレてる。ヤバイ…


「あ…シン落ち着いて…」


私はシンの腕をつかんだ。それが逆効果だったのかも。


「否定しねぇじゃん、ほら、それ…仲良すぎねぇか?」


小学生か…だんだん私も腹が立ってきた。


「あ~もう!!いいかげんに…」


「あ~あの…私もいたよ。みんなで宿題してて…それ嘘だから。とーこちゃん寝ちゃって…だから私が先に帰っただけだし…」


もっちゃんがホントのことを言って否定してくれた。けど…


「持田…それホントだけど、悪い…最後のいらなかったかも」


うん…そうそう。

シンと私は力がなんか抜けて苦笑い。



「え!?シンくん…私なんか変なこと言った?」



「あぁ…平気。マジめんどくせぇ、好きに言えよ。お前らのバカに付き合ってらんねぇし」



ほんと…真面目に返してんのがバカバカしくなってくる…ほっとこ。私とシンはため息をつきながら席についた。もっちゃんは、申し訳なさそうだったけど。






「久我くん…」


廊下で呼び止められる。


「何?」


「おい、颯…お前もうちょい愛想よくしろよ…」



不機嫌な俺に、側にいた晴紀が必死に場を和ませようとする。愛想よく?そんなんできっかよ…こいつ木原に俺とキスしたとか余計なことを言いやがった奴だ。



「ねぇ、久我くん聞いた?木原さんと谷口くんできてたんだって…酷くない?」



「何言ってんだ?お前」



そんなんおまえに言われなくても、前から知ってっし。



「え~だから…昨日夜中2人一緒にいたんだって、何してたんだろうね…谷口くんの部屋で。木原さん久我くんいるのにさ…」



目の前の女は、俺の気持ちをさぞ分かってるかのように振る舞う。バカじゃねぇの?



「あぁ、俺別にあいつと別れてっから」



「え!?颯、お前いつ東子ちゃんと別れたんだよ」



「あぁ…少し前?つかあれ?けっこう前か…まぁ別にあんたに木原との関係、とやかく言われたくねぇんだけど」



「おい、藍沢さんだって、お前のこと心配してくれてんだからさ…確かにあの2人仲良すぎるのは俺も思ってたけど…」



晴紀がフォローしようとしたもんだから…



「でしょ、久我くん知らなかったらどうしようって思っただけで…私は別に…。けど、別れてそんなにたたないで、次幼馴染みとなんて…木原さんも見た目によらず、すごいよね…」



すごい?つか何が?

隣の晴紀は俺の苛つきを感じて…慌てる


「あ…あの、藍沢さんそろそろ…教…」


「藍沢、ひがみかなんか知んねぇけど、お前正直うぜぇわ。悪い…晴紀、俺先行く」



「なんで…木原さんの味方…」


味方?


「あ、おい待てよ」



味方なんて別にしてねぇし…。





朝から今日はついてない。

変な噂たつと嫌だから、今日はシン抜きで昼御飯。


「ねぇ、もっちゃん…私たちどうやったらできてるように見えんのかな?」


怒ったまま、サンドイッチを頬張る。


「え?あぁ、あのね…言いにくいけど…見ようによってはね、見えるかも」


「え!?」


「まぁ、私はとーこちゃんとシンくんの仲知ってるし、そうは思わないけど…」


よ、よかった…これでもっちゃんにまで変な誤解されたら、シンに申し訳がたたない。


「そう、私もシンもお互い全く恋愛感情ないからね。シンの好みって私とタイプ違うし…ね、もっちゃん」


「そうなの?」


もっちゃん相変わらずマイペースだな。

全然気づいてないよ…シンが行動にうつせないのも分かるような…。


「あ…私なんかあったかいの買ってくるけど、もっちゃんもいる?」


「ん~じゃあ、ミルクティー」


「おっけー」


って…シンいるじゃん。

机の上にミルクティーが置かれる。


「持田、これやる。さっきは一応フォローありがとな。…ったくトコのせいで…」


「シン、私の分は?」


「ねぇよ」


わ…この違い。絶対彼氏になんて見えないし。



「もっちゃん、シンにかまってたら時間なくなるし、行ってくる」






自販機んとこ、晴紀くんたち…5組の子もいる。

一瞬ドキッとしたけど、颯はいなくて…ほっとしたような。まだ、だってどうしていいか分かんないし。



「それ、ほんと?」


「あ~うん、だから颯今フリーだし行けっから」


「晴紀くんも、マユ来れて嬉しいんじゃない?」


「ユキちゃん、晴紀今回マジだから頼むね」


「え~、でも楽しみだね、日曜」



考えたくないのに…ほんと今日はついてない。

なんでこんなん聞いちゃうかな。





屋上…こんな寒い日に人なんているわけなくて、がらんとしてる。私はあったかいココアをすすった。


なんかさ…ほんと…


すごくみじめで苦しい。ナオくんの時はどうやって立ち直ったんだっけ?


恋愛でのつらい気持ち、もうしたくないって失恋した時思ったはずなのに…。


それでも、なんか無愛想な彼が気になって、不意に見せる笑顔とか優しさが嬉しくて、気づいた時には颯のこと意識してた…好きになってた。いつのまにか、頭ん中彼のことばっかりになってた。


ナオくんやシンのこと、逃げてばっかりで中途半端な自分が嫌になって、ちゃんと謝って向き合おうと思うことができた。



この想いも、辛くなくなる時がくるのかな。

少し前のことなのに、付き合っていた頃がひどく懐かしく思えた。なくしてしまった『彼女』という場所にはもう戻れない…自分で壊した。


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