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一応な関係  作者: aotohana
14/24

彼女の記憶***初めての彼氏②


***



シンに言われてから、私は内心落ち着かなかった。

ナオくんに告う?

ううん、だって…私が彼女になれるはずない。





ギリって言ってたナオくんも、無事志望大に合格した。


シンと私…そしてナオくんのお祝いをするはずだった…。なのに、ほっとした私は普段絶対出さないであろう、高熱をだしてしまった。



今思えば…あの時高熱だしてなかったら、ナオくんとは幼馴染みのままだった気がする。




扉を叩くノックの音…


「トコ、具合どう?」


「ナオくん、今日お祝いしてたんじゃなかったの?」


「まぁ、親父たち酒入ったし、俺いなくてももういいだろ」


優しく頭を撫でてくれる…


「シンは?」


「あぁ、シンがトコに持ってけって、食えんなら食えよ、ここ置いとくから」


テーブルに置かれたのはカットフルーツ。


「あ…忘れてた、ナオくん合格おめでとう」



「ありがとな…トコもおめでとう。けど、トコも春から高校生かぁ…俺ん中じゃまだガキのままなんだけどな」



ナオくんにとっては意味を含まない言葉…。

けど、私にとっては…



「ねぇ…ナオくん。ミホさんはガキじゃない?」



ナオくんの顔色が変わった。



「なに言ってんだ、ミホは関係ねぇし。フラれたからな」


そう言って少し辛そうに笑った。

そんな彼の表情を見たからか、熱がまた上がったからなのか…のどの奥が熱くなった。



「いいから、寝とけ」


ナオくん…


「…じゃダメかな?」


「え!?」


部屋を出ていこうとしたナオくんが立ち止まる。


「だから、私じゃダメかな?ナオくんの彼女になりたい」





……。


しばらくの沈黙。固まったままのナオくん…そして笑った顔。


「トコ、お前何?俺フラれてなぐさめてくれてんの?」


私の精一杯の告白は…伝わってなかったらしい。



「違う…ちがくて、本気!!ナオくんのこと好きなの」


手が自分でも震えているのが分かった。恥ずかしい…うつむいてナオくんを見れない私に、彼は…



「あ…あぁ、うん…分かった。じゃあさ…トコ、春から俺の彼女な」


びっくりして顔をあげた私に、ナオくんは優しい表情でそう言った。


小さな頃からの想いがようやく実った瞬間だった。



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