九王沢さん×軍チカン兵衛 Final Round
(ナレーション)「ついに『九王沢さんに誰も突っ込めない』本編終了を受けて、チカン兵衛は九王沢さんへのラストインタビューに臨むのでした…」
「ほれ、本編終了お疲れ様!」
(チカン兵衛、九王沢さんに大輪の花束をさんざん持ってくる)
「あれ、この辺りは普通なんですね…?」
「し、失礼なおっぱいだな!わしだってこれぐらいは普通にポケットマネーで用意するわ!これでも大名なんだぞ!?」
「(花束についているカードを見て)『九王沢慧里亜さん江 あなたの太閤豊臣秀吉』って書いてありますけど、これ…?」
「(ぎくっとするチカン兵衛)うるっさいな!大坂城の皆からだっつうの!普通、代表者の名前で届くだろうが!いくら秀吉様が巨乳好き女好きとは言え、個人でそこまではせんわ!あ、でもちゃんとお礼の挨拶には来いよ。あの人、結構寂しがりだからな…」
「『眉月果恵さん江 石田三成愛をこめて』って言うのもありますけど…」
「(舌打ちする)あの貧乳ヤンデレ好きめ、どさくさに紛れてっ…ああいいよ、とりあえずそれもう一人の子に渡しとけ。まあとにかく無事に終わって良かったじゃないか、九王沢殿」
「ありがとうございます。第一回の宣伝から、チカン兵衛さんにはお世話になってましたから感慨ひとしおです。お蔭で晴れて那智さんと、お付き合いすることが出来ましたし!」
「(露骨に舌打ちする)いいんじゃないのか、初彼なんだろ。…って言うか、あいつのどこがいいのか、わしにはさっぱり分からんのだが」
「(天使の微笑みで)那智さんは興味深い方ですよ。大好きです」
「じゃあわしは!?興味深いだろ!?」
「はい、恐らく別の意味で」
「そうか…(いいとこだけしか聞いてない)ふふふ、いいんだぞ、那智がチカンとか盗撮で捕まったらわしのところに来ても。言っとくけどわしは今フリーだ!いつでもばっちこいだからな!」
「あ、結構です(きっぱりと)。たぶんそう言うことにはならないと思いますから。あ、それにチカン兵衛さんって(首を傾げる)奥さん、いらっしゃいましたよね…?」
「光のことはいいんだ!あいつは妻…と言うか、別次元の存在だ!恐るべき敵なんだ!」
「(九王沢さん聞いてない)今度、那智さんのお部屋に初めて連れてってもらうんです。結婚…ってどんな感じなんでしょうか」
「ふん、結婚なんて恐ろしい言葉、口にもしたくない。人生の墓場だ!先に待ち受ける地獄も知らずに、のんきなおっぱいだ。で、なんだ、そう言えばわしに、記念プレゼントがあったって聞いたけどそっちはどうなんだ!?」
「ああ、橋本ちかげさんにぜひチカン兵衛さんに渡しておけと言われて用意しておいたんです。(声をひそめて)でも本当にいいんですか、このようなもので」
(チカン兵衛、何やら色紙を受け取る。そこに大きくチカン兵衛のスケッチが描かれている)
「なんだこれ!?…しかも顔に大きくバッテンしてあるじゃないか!誰描いたんだ?」
「先ほど名前が出た眉月果恵さん…本編のもう一人のヒロインさんです」
「だからバッテンしてあるぞ!?これ人に渡していいのか!?」
「はい、だからわたし果恵さんに聞いたんです。でも『これで完成。最高の出来』ってきっぱり言うので…あ、でもよく見るとやっぱりこのバッテンがあった方が、ある種の芸術性が」
「(色紙を叩きつける)どんな前衛アートだっつうの!ちっとも癒されんわ!むしろ悪意しか感じないわ!」
「(ほぼ無視)あ、あとわたし、お預かりしていた原稿あったんですけど(ごそごそ九王沢さん、五百ページくらい、付箋まみれの紙束を取り出す)」
「なんだそりゃ…ああ、これわしが書いた小説じゃないか。『絶対領域に警官は踏み込めない』と言う作品だ。お前たちの後に連載してもらおうと思って橋本ちかげに『読め!』と無理くり置いてきた奴だ。なんだおっぱい、お前が預かってたのか」
「はい、忌憚のない意見を、と言うことだったので、読ませて頂いたんですが」
「ふふん、どうだおっぱい、傑作だろ。那智が書いた小説なんかより、断然素晴らしくてスリリングだったはずだ!遠慮なく率直な意見を言うがいい」
「(すっごい熱のない声で)…本当に率直に言っていいんですか?」
(チカン兵衛本人の希望により、音声をカットしています)
(五分後、チカン兵衛、頭を抱えている)
「しっ、死にたいっ…鬱だ、わしは金輪際、物書きなんかやめよう…向いてないんだ、わしなんか…(ぶつぶつ)」
「(九王沢さん、今さらそんざいなフォロー)人にはほら、向き不向きがありますから」
「そう言う問題じゃないだろ!?人のイタイとこばっか突きやがって、どんだけ塩対応なんだ!?ちっとは褒めろ!一っ言も反論出来んじゃないか!?」
「公正に評価したつもりなんですが。あ、塩対応バージョンも訊きたいですか?」
「これ以上があるのか!?絶対いいっ、やめてくれ!(チカン兵衛両耳を塞ぐ)まあいい、わしはなあ、そもそも別に作家なんか最初から向いてないのだ!現場第一主義だからな!文字のおっぱいより、画像のおっぱい!動画のおっぱい!そして三度の飯よりリアルなおっぱいだ!さあラスト記念に、わしにその谷間を心おきなく激写させるがいい!」
(デジカメを取り出すチカン兵衛に、自動小銃を持ったロジャーさんチームを連れて乱入)
「Don’t miss him!!(奴を逃がすな!!)
「ちっ、最後までこの展開かよ…」
(舌打ちするチカン兵衛とロジャーさんたちの間に、なんと九王沢さん立ちはだかる)
「さあ、今のうちに逃げて下さい!」
「おっぱい…お前…」
(動揺するチカン兵衛に、九王沢さん、天使の笑み)
「チカン兵衛さんと過ごした時間、とても貴重でしたよ。…もう行ってしまうんですね…?」
「う、うん。(お前んちの)怖いおじさんたちが一杯来たからね」
「(九王沢さん、思いつめたような表情で)チカンは出来ないけど、きっと憶えます…」
「知ったかおっぱい…お前、わしと、行くか?」(チカン兵衛、目が潤む。九王沢さんに歩み寄ろうとしたが、思いっきり首を横に振られる)
「日本の性犯罪撲滅のためですから!」
「ふざけんな!!惚れてまうとこやったろ!?」
(ナレーション)「最後まで銃火の中を逃走させられるチカン兵衛だったのでした…」
もしよろしかったら、チカン兵衛の逃走を見送る九王沢さんに、例の名台詞を誰か言ってあげて下さい。…と言うオチでございました。改めてここまでご愛読ありがとうございます。