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任侠盗賊  作者: 伊江成誠
1/1

子捨て村

これは、ある国のある1人の盗賊の話しだ。



まずはその盗賊の子どものころ話しをしよう。


名前は直也といい住んでいる場所は空が淀んでいて、魔物や悪魔がいつでてもおかしくないよんな場所だ。



さっしの通り、今日生き抜くための飯にありつけるかどうかもわからなかった。



だから、両親はこの大人でも生きるか死ぬかの場所に直也だけを残しどこか遠い場所に逃げていった。




[おい、直也。そろそろ飯のちょうたつにいくぞ]



寝ている俺の耳に太くて低い声が聞こえた。頭を少しだけ起こし前をみてみると剣兄が立っていた。



剣兄はこの部落の親分的な存在で年は俺より三歳上で18だ。身長は180cmくらいでやせほそっている。



[早く起きろ]。



剣兄の横からヨシヒロの声も聞こえてきた。



ヨシヒロは俺と同じ年で言わば幼馴染みたいなもんだ。身長は170ほどでやはりやせ細っている。



[わかってるよ。うるせぇな。今日はどこまで盗みにいくんだ?]



[隣町の大富豪、八兵衛の屋敷までだ。]



[わかった。ちょっとまってろ]



そういうと枕元においてある自分の身長ほどもある刀を取り出してむくっと立ち上がった。



着物はボロボロでいくつもの穴が空いてある。



このテント張りの家にはよく似合っている。



三人は剣兄を先頭にテントからでた。



空はまだ真っ暗で雨がパラパラとふっていてアタリ一面に張っているテントが今にも吹っ飛びそうな勢いだ。



三人は二時間はかかるであろう隣町を目指して裸足のまま走り出した。



[走りながらでいいからよくきけよお前ら。今日の作戦を言う。]



[さすが、剣兄だな。もう作戦考えてんのかよ。]



俺は感激しながら言った。



[やっぱり、剣兄はすげぇや。そういや、カズヒロは今日の盗みには参加しねぇのか?]



ヨシヒロが尋ねると剣兄は自慢げの顔で少し笑いながら答えた。



[あいつは一足先に八兵衛の屋敷に行っている]



意味がわからず俺は尋ねた。


[なんでだ?]



[ばがだな。お前は相手の状況を把握するためにきまってんだろ]


呆れ顏で剣兄のかわりにヨシヒロが答えた。



[うるせえよ。お前には聞いてねぇだろ]



俺はヨシヒロの棘のある言葉に足を止めいい返した。



[なんだ。親切で教えてやってんだろが。お前ももう少し頭を使え。]



[なんだと。いつも偉そうに言ってんじゃねぇよ。]



頭にきて俺はヨシヒロの胸元をつかんだ。



[なんだ。やんのか。]



ヨシヒロも俺の胸元つかんだ。



もとから、よれよれの二人の着物はさらに伸びた。


[やめねぇか。お前ら。これから共に戦う仲間どうし争ってどうすんだ。]



[だってよ、剣兄。この野郎が。]



言い終わるかどうかの時に頭に剣兄の拳が降ってきた。



[だまってついてこい。]

それから約一時間ほど走ると黒い空の下に村が見えてきた。



村の一番奥に一際目立つ屋敷がある。



[おーい。剣兄、直也、ヨシヒロ。]



10m先の辺りから、貧乏そうだか温かみのある顏だちをしたカズヒロが走ってきた。



[遅くなって悪かったな。八兵衛の屋敷には見張りは何人いた?]



[正面の門に二人と屋敷の周りに一人と八兵衛の寝室前に二人だ。オイラが見たのは五人だ。]



カズヒロは息をぜぇぜぇはきながら言った。



[そうか。ありがとな。

でもここからが本番だから気合いいれろよ。お前ら。]



[おう。]



三人は声を合わせて返事した。


[じゃあ、この布で顏かくせ。作戦通りにたのむぞ]四人は忍び足で村に入った。



村は夜中のおかげで人影はほとんどなく静まりかえっている。



[じゃあこっからは全員別れるぞ。]



[わかった。俺とヨシヒロは右に行けばいいんだな]



緊張した顔で俺は尋ねた。



すると剣兄は声を出さずに首だけを立てにふった。



[オイラは左だよな。]



剣兄はまた頷いて静かに屋敷の背後へと続く道へと進んでいった。



雨ははだんだんと強くなってきている。



俺とヨシヒロは正面の門番のすぐ近くまで辿りついた。



[もう。剣兄とカズヒロは配置についたかな。]



[もうちょっと待とう。俺たちがもっとも重要な役なんだ。ここで失敗はできねぇ。なにか剣兄から合図があるはずだ。]



[そうだな。この爆竹を投げる準備だけしておこう。]



俺が袋から爆竹とマッチをだそうとするとヨシヒロがその右手を強くつがんできた。



[バカか。お前は。]



強い口調で言った。



[なんでだよ。準備しなきゃなんねぇだろ。]



[天気を考えろ。雨に濡れたらどうすんだ。]



[あぁそうか。わりぃ]



こう言ったやりとしをしていると空から雷がすごい音をたてた。



なぜだかわからないが俺たち二人はそれが剣兄からの合図だとおもいマッチをすり爆竹に火をつけ門番二人の真下に投げ込んだ。



爆竹は二人の門番の前で大きな音をたてた。



[曲者だ。どこいる。]



一人が右側にいる俺たちを見つけた。



[あそこだ。あそこにいる二人だ。追え。]



迫ってくる門番たちにもう一つ爆竹を投げてから俺たちは全力で逃げた。



すると騒ぎに気づいた。残りの三人の見張りたちも門からでてきて、右に曲がろうとした。



その時反対側にいたカズヒロが三人目掛けて爆竹を投げた。



[こっちにもいるぞ。]



三人は半回転してカズヒロを追った。



剣兄は裏の壁を登って八兵衛の寝室の前にいた。



障子をゆっくりとあけると高級そうな羽毛布団の上で八兵衛が大きないびきをかきながら大の字で寝ている。



部屋は10畳ほどで壁にはトラの毛皮などが飾ってあり棚には黄金などがいくつかあった。



その十畳ほどの片隅に大きな箱がある。



剣は八兵衛が起きぬようにスリ足でその箱に近づき開けた。



その中には五十万ほどの金が入っている。



[これで当分はガキどもを食わしていけるな。]



剣は笑いながら箱をかかげ振り返るとそこには、190もあろうかという大男が立っていた。



顔は仁王像のようで、右手には槍を持っている。



[そこで何をしてるんだ。]



剣の首に槍の先をあてながら言った。



緩んでいた剣の顔は一気に精悍さをとりもどし、脇に差している刀を抜き槍をはじいた。



その時、八兵衛のいびきがとまり驚きながら壁にへばりついた。



[横仁、なんだこいつは。]



黄仁とはおそならこの男の名前なのだろう。



[ただの盗賊でございます。この黄仁がすぐさま処刑しますのでご安心くださいませ。]



槍を両手で持ち後ろに引き寄せると目にも止まらぬ早さで剣に向って突き刺した。



剣は刀でその突きを捌いたと同時に刀を上段にもっていき黄仁の頭を目掛けて振り下ろした。



黄仁も槍を横向きに持って、これをうけとめた。



[ガキの割にはなかなかやるな。だがこの槍に狙われて生き残ったやつはいないんだ。]



二人のの刀と槍は十字になったまま動かない。



[俺は俺一人の命じゃねぇんだ。俺が死ねばガキども五十人が餓死するんだ。だから負けるわけにはいかねぇよ]



その時、十字が崩れお互い武器を後ろに戻し喉を目掛けて突き刺しあった。]



辺り一面に赤色に染まった。



[俺の負けか。]


剣の刀には黄仁の血がどっぷりとついていた。



黄仁は槍を握りしめたままその場に倒れこんだ。



[何をやっておる。お前が死ぬのはかってだがワシと宝を守ってから死なぬか]



部屋中に醜い声が響き渡った。



剣は八兵衛に刀をむけ[貧乏人から金や食料を巻き上げた罰だ。]



[い、いのちだけは助けてくれ。そ、そうだお主今日からわしの用心棒になれ。]



剣は力いっぱい拳を握りしめ八兵衛の頬をなぐった。



鈍いおとがし、八兵衛は畳に倒れこんだ。



剣は箱をかかげ障子をあけると雨は止み朝日がでかかっていた。



その頃、直也、ヨシヒロ、カズヒロは門番たちを振り切り村の入口ふきんにあるお茶の裏で合流していた。



[いくらなんでも剣兄のやつ遅くねぇか]



しびれをきらして俺は尋ねた。



[確かにおせぇなぁ。なんかあったんかな?]



ヨシヒロは不安気に答えた。



[なんかってなんだよ。剣兄がだれかにまけるわけないだろ。]



[誰も負けたなんて言ってねぇだろ。お前こそが思ってんじゃねぇのか。そんなに不安ならそのお飾りの刀で助けに言ってやれ。]



[二人とも静かにしなよ。誰かに気づかれたらまずいよ。]



そのとき背後に人の気配がして三人は恐る恐るふりかえった。



そこには意気揚々と箱を片手に掲げたっている剣がいた。



[直也、ヨシヒロ。お前たちは喧嘩ばっかだな。

さぁ帰るぞ。]



ぶっきろうながらもやさしさに満ちあふれた剣の声に三人は安堵した。



[まってくれよ。剣兄]




四人は途中で大量の食糧を買い、子捨て村へと帰ってきた。



[剣兄たちが帰ってきたぞ]


六歳の雅がそう叫ぶと二十個ほどあるテントの中からぞろぞろと五十人ほどの子どもたちが出てきて俺たちをかこんだ。



俺は持っている食糧を下に置き縄をほどいた。



すると一斉に歓声が沸き起こった。



剣兄は満足気な顔で煙管を吸いながら空をながめていた。


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