3、本当になって。
カンカンカンカンカン……。電車が通り過ぎた。
「本当にやるのね」
「もちろん」
「これって、自殺にならない?」
「大丈夫。魔女が助けてくれるわ」
クックックッ。
魔女が、笑っている。
「これで、噂が本当になりますな」ケキョ、ケキョ鳴きながら、魔女に言った。
「うむ」
「しかし、魔女殿の信頼は厚いですな」
「……そんなものはいらない。信頼など魔族には不必要だ。あるのは、裏切りだけだ」魔女にスッと、悲しい影が浮かんだように九官鳥には見えた。
「魔女殿?」いつも魔女の鋭い視線が、苦手だった九官鳥だが、悲しい目はもっと苦手だった。
「なんだ」魔女の視線が、元に戻ったので九官鳥はホッとした。その様子を見ていた魔女は、ふっと笑って、
「もう、すぐだな。われわれが自由になるのは」と、九官鳥に笑いかけた。
「さよう」九官鳥も笑った。
「そろそろ、参らぬか、あの者どもが、待っておりますぞ」
「ああ、そうだな。カラス、電車に引かれて亡くなった二人を連れて来い」
「分かり申した」
「あ、あのさぁ」
「なに?」
「もし、助けてくれなかったら?」
「………そこまで、考えていなかったわ」
「…………やめる?」
「……………う……ん」
「きゃっ」
「カ、カラス!?何でここに?」
「魔女殿!あの二人、亡くなっておりませんでしたぞ!」
「は?なぜだ?」
「知りませぬ!」
「………自由になるのは、まだまだのようだな」魔女が、深い、深いため息をついた。
「そ、そのようですな」
九官鳥が、ケキョと鳴いた。
本当になってませんね。
読んでくれた方々に感謝の言葉を送ります。
それでは、次の作品まで。




