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宇宙人は、ワレワレハウチュウジンダと言わない。  作者: さわみずのあん


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1/1

 羽田空港にUFOが着陸した。

 発信している電波は、


 一対一の対話を望む。




 SFファンの友人からは、

「お前が羨ましいよ」と言われた。

 滑走路をゆっくりと、歩いてゆく。

 遠くにあるUFOを自分の目で確認した。

 ミキサーみたいだ、と思った。

 高さは5mほど、

 2m程の銀色の円錐台に、

 透明な3m程の円柱が乗っている。

 解析調査によると、

 透明な金属らしい。

 技術が違いすぎる。

 望むものが対話で良かった。

 戦争などしたところで、勝ち目はない。

 最も相手からすれば、

 未開墾の田舎の土地など、

 いらないのかもしれないが。

 UFOの目の前までやって来た。

 向こうから私は見えているのだろうか?

 両手を挙げ、武器や敵意のないことを示す。

 UFOから私の足元に向けて、

 何かが伸びて来る。

 階段だ。

 謎の光で連れ去られるのではないかと、

 怯えていたけれど、一安心。

 乗り降りは、意外と原始的なのだな。

 一歩目を登る時、

 ニール・アームストロング船長の、

 あの言葉を思い出した。

 この一歩は、

 人間にとって小さな一歩だが、

 人類にとって偉大なる一歩だ。

 階段を登りきると、

 透明な金属の壁が、

 切れ目なく、音も立てずに、

 開いた。

 私は、中に入る。

 真ん中に立てば良いのだろうか?

 声が聞こえる、

 耳でなく、脳の、頭の中に直接、

 聞こえる。


「我々は」


 扇風機の前で、

 誰もがやった宇宙人の声などでなく、

 ゆっくりと明朗とした声。


「一対一の対話を望む」


「わ、私は、地球人の代表として、

 ひと、一人でやって来ました」

 緊張のせいか、少し早口で、

 うわずった声になってしまう。

 深呼吸をする。


「我々は、一対一の対話を望む」


「私が代表して、対話をしにやって来ました」


「我々は、

 ただの対話を望んでいるのではない。

 一対一の対話を望む」


「で、ですので、私がこうして、一人で、」


「お前は、一人ではない」


「いえ、こうして私一人で、

 対話の内容は、録音もしていませんし、

 盗聴も不可能な状況にしております」


「お前は、一人でない、一、でない。

 人類の、何十億分の一、にしかすぎない。

 我々は、一対一の対話を望む。

 そのために、これを送ったのだ」


「これ、とは。この、」


「これは、君らと我々とを、

 一対一の対話ができる、位置にする装置。

 一にする装置。

 人類ホモサピエンス

 均質化ホモジナイズする装置」


 キーンと、高い嫌な音がする。

 頭上で何かが回っている気がした。

 わ、私は、わた、私は、

 だ、誰だ、誰の考え、誰の思考、

 誰の思い出、誰の記憶、誰の感情、

 誰だ、誰だ、だれだ、だだ、だだ、だだ、

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ




「ワレワレハチキュウジンダ」




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