表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/32

祝砲

 


 祝福の鐘が鳴っている――


 人々の歓声――喝采――


 空は生憎の雨模様。


 せっかくの佳き日なのに、天気が良くないだなんて……。

 

 そう呟くわたくしに、隣で微笑むハルロ様。


「天上の神々が、僕たちの婚姻を祝おうとしてくれているんだよ。雨は恵みだ。農業大国のラトリーナでは特にね」


 そう言って、わたくしの手を取るハルロ様。


「さぁ、バルコニーへ。国中から王子妃の君を見ようと人々が集まっているんだ」


 手を引かれ導かれる先で。

 割れんばかりの祝福の歓声に迎えられて。


 ぽんっぽんっと祝砲が打ち上がって、色とりどりのガーランドが煽られ揺れて。


 地上では手旗を振る人々。


 わたくしは、胸いっぱいに喜びを感じながら片手を上げる。

 ヴェール越しに微笑みながら、民衆にその手を振って。


 ワッと高まる歓声と――


 パンッと弾けるような祝砲の音――


 きゃあっと聞こえた甲高い悲鳴――?



 ――あっ


 ――――熱い


 ――――――痛いっ!


 不意に。


 幸せでいっぱいだった胸が、熱と痛みに満たされて……。


「あ――――――」


 視界がぐにゃりと曲がっていく。

 

 誰かの悲鳴。

 バタバタと駆け寄って来るたくさんの足音。

 強く体を掴まれて、隠されて。


「は、ルロ……さま……」


 助けて!

 お願い……

 怖いの。

 痛くて、熱くて……なのに、どんどん寒くなって……なんにも見えなく……


 見えなく…………


 ……………………………………。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ