祝砲
祝福の鐘が鳴っている――
人々の歓声――喝采――
空は生憎の雨模様。
せっかくの佳き日なのに、天気が良くないだなんて……。
そう呟くわたくしに、隣で微笑むハルロ様。
「天上の神々が、僕たちの婚姻を祝おうとしてくれているんだよ。雨は恵みだ。農業大国のラトリーナでは特にね」
そう言って、わたくしの手を取るハルロ様。
「さぁ、バルコニーへ。国中から王子妃の君を見ようと人々が集まっているんだ」
手を引かれ導かれる先で。
割れんばかりの祝福の歓声に迎えられて。
ぽんっぽんっと祝砲が打ち上がって、色とりどりのガーランドが煽られ揺れて。
地上では手旗を振る人々。
わたくしは、胸いっぱいに喜びを感じながら片手を上げる。
ヴェール越しに微笑みながら、民衆にその手を振って。
ワッと高まる歓声と――
パンッと弾けるような祝砲の音――
きゃあっと聞こえた甲高い悲鳴――?
――あっ
――――熱い
――――――痛いっ!
不意に。
幸せでいっぱいだった胸が、熱と痛みに満たされて……。
「あ――――――」
視界がぐにゃりと曲がっていく。
誰かの悲鳴。
バタバタと駆け寄って来るたくさんの足音。
強く体を掴まれて、隠されて。
「は、ルロ……さま……」
助けて!
お願い……
怖いの。
痛くて、熱くて……なのに、どんどん寒くなって……なんにも見えなく……
見えなく…………
……………………………………。




