――第7話 飛ばされた先――
エウラと出会ってから、
気づけば、もう1週間が経っていた。
藍に負わされた傷の後遺症は、想像以上に重い。
満足に歩くことすら、まだ難しい。
立ち上がろうとするたび、
筋肉と神経の動きがどこかで噛み合わず、
身体が、自分のものではないような
奇妙な違和感が走る。
生きているだけで、精一杯。
そんな日々だった。
けれど――
その代わりに、この1週間で、
悠斗は“エウラ”という存在について、
想像以上に多くのことを知った。
なにぶん、
彼女はとても――おしゃべりだった。
※※※
ここは、日本の洋舞林県の山中らしい。
悠斗がいた日本海側の岩海県とは正反対、
太平洋側まで飛ばされてきてしまったようだ。
もっとも、エウラ本人は――
「たぶん、そのへん」
と曖昧に笑うばかりで、
正確な場所を把握している様子はまるでない。
電波がかろうじて通じる日もあるが、
地図アプリはほとんど役に立たず、
結局のところ、
「どこかの山奥」
としか言いようがなかった。
エウラがここにいる理由は、
10年前に起きた“事件”がきっかけだという。
エウラとカシウスが激突し、
ドイツの町をひとつ、完全に壊滅させた――
その事実だけでも、
彼女の存在が世界にとってどれほどの脅威であり、
同時に、どれほど謎めいたものかが分かる。
エウラは、その件について、何も隠そうとしない。
「だって、仕方なかったんだもん」
そう、軽く言い放つ一方で――
時折、炉の火をじっと見つめ、
言葉を失うように黙り込むことがある。
その沈黙が、
後悔なのか、悲しみなのか、
悠斗には、まだ分からなかった。




