雨宿りサバイバル部の恋路 〜成路楽寺高校 部活動シリーズ〜
成路楽寺高校 部活動シリーズ①
第7回「小説家になろうラジオ」大賞参加作品
テーマは『サバイバル』『雨宿り』です(*´Д`*)
雨の日は、決戦の日なのだ。
テントの下に立てられたフラッグを護るのが、一年生の僕と彼女の役目。でも今日の相手高校はオフェンスメンバーが弱小で、誰一人としてこっちの陣地に入ってこない。
僕は先輩から中古で譲り受けたコルトM4A1カービンのマガジンを外して、装弾を確認した。
開始してから一発も撃ってないから、この行為には何の意味もない。無言の時間を埋めるためだけの行為だ。
迷彩柄のカッパを着た彼女――木野さんは、H&KMP5を首から下げて、テントの端から滴る雨の雫を眺めている。
彼女とは別のクラスだし、部活中も大抵は先輩達が周りにいわけで、僕が彼女と二人きりになれるのは、この高校対抗戦の時だけ――
雨がテントに当たる。
BB弾を撒き散らしたみたいな、軽やかな雨音だ。
遠くからは、先輩達の歓声が聞こえる。
かなり一方的な展開らしい。
今なら言えるかもしれない。
今日こそデートに誘おう!
今度の日曜、一緒にガンショップに行こうって!
「ねえ、木野さん――」
『お前ら! そっち行ったぞ!!』
マジで間が悪い先輩の声で、僕と木野さんは咄嗟に銃を構えた。
近づいてくる足音と声。
放たれたBB弾が、僕の足元で弾けた。
「来たよ!」
僕がそう叫ぶ前に、彼女は走り出していた。
敵の3人は横一線に広がり、こちらのテントへと駆ける。木野さんその列の中心に突っ込んだ。
雨に濡れた地面が抉れ、泥が舞う。
3人は木野さんに銃口を向けるが、その先に見えるのは味方だけ。同士討ちを誘った挙動に、3人が一瞬だけ怯む。
その瞬間の射抜くようにして、彼女のMP5が火を吹いた。
相手の胴体を狙って性格に弾丸が打ち込まれる。
「ヒット!」
敵チームの3人は口々にそう宣言し、「なんだよこの子、バケモンかよ……」って項垂れた。
木野さんやっぱり強い。無口で協調生がないから守備に回されてるけど、単独での戦闘力はこのチームで一番だ。
僕は手の震えが止まらなかった。
華麗に舞うその姿に、今日もハートを撃ち抜かれてしまった。
でも、きっといつか、僕が彼女のハートを……。
僕は、心の照準で彼女を捉える。
そしてトリガーに指をかけてーー
「あたっ!?」
気付くと、彼女が放った弾が、僕の胴体にクリーンヒットしていた。
「え、なんで!?」
「ごめん、なぜか狙われてる気配がしたから、咄嗟に――」
申し訳なさそうに頭を下げる。
木野さん恐るべし……。
彼女のハートを射抜けるのは、もっともっと先になりそうだ。
お読みいただきありがとうございます(*´Д`*)
今年は『成路楽寺高校 部活動シリーズ』と題し、架空の部活動での一コマを書いてみようと思いました(`・ω・´)
雨宿りサバイバル。
雨に日にのみ行われる異色のサバイバルゲーム。
同じテントの下、主人公の気持ちはいつか木野さんに届くのでしょうか。




