明日は女子会!
「ただいまー!」って、すっごく大きな声が出ちゃった!
だってみんなと仲直りできたんだもん。
お母さんもお姉ちゃんも、僕のことすごいって褒めてくれた。
明日はみんなで女子会!お姉ちゃんが、僕の服、すっごく真剣に選んでくれてる!
最高の「ただいま」
玄関のドアが勢いよく開き、玲央の弾んだ声が家中に響き渡った。
「ただいま〜!」
キッチンで夕食の準備をしていたお母さんが、その声にびっくりして顔を出す。
「あら、玲央!すごい元気ね!何かいいことでもあったの?」
「うん!きょう、すっごくいい日だったんだ!お母さーん!」
玲央は、ぱたぱたと駆け寄ると、エプロン姿のお母さんに、後ろからぎゅっと抱きついた。その全身から喜びが溢れている様子に、お母さんの顔も自然とほころぶ。
「ふふ、そう。じゃあ、ゆっくりお話聞かせてね。まずは制服を着替えていらっしゃい」
「うん!」
玲央は、お気に入りのゆったりとした可愛いホームウェアに着替えて、スリッパでリビングに戻ってきた。数日前、学校での出来事に打ちのめされ、着替える気力もなくソファに倒れ込んだ日のことを思い出す。それに比べて、今日の心はなんて軽くて、明るいんだろう。改めて、今日の出来事の嬉しさを実感した。
「許す」ということ
玲央の元気な「ただいま」の声に、何事かとお姉ちゃんも部屋から出てきて、リビングのソファに腰掛けていた。
「で、どうだったのよ。そんなにご機嫌で」
お姉ちゃんが水を向けると、玲央は待ってましたとばかりに話し始めた。
「今日ね、木綿花ちゃんと彩花ちゃんに、明日遊ぼうって言われたの!それでね、それとは別にね……」
玲央は、少し興奮しながら、今日のお昼休みの出来事を一気に話した。田中さんと田代さんに、自分から話しかけたいと木綿花ちゃんたちに相談したこと。勇気を出して二人に話しかけたら、驚いたことに、ちゃんと話ができて、なんだか友達みたいになれたこと。そして、そのあと五人で笑い合って、結局、明日みんなで一緒に遊ぶことになった、と。
「――っていうことが、あったんだ!」 話し終えた玲央の顔は、達成感と喜びに輝いていた。
お母さんとお姉ちゃんは、ただただ驚いて顔を見合わせている。やがて、お姉ちゃんが、真剣な顔で玲央に尋ねた。
「……玲央。あんた、本気で田中さんと田代さんのこと、許してるの?あんなにひどいこと言ったのに」 その問いに、玲央は少し考えてから、自分の気持ちを正直に話した。
「『許す』っていうのとは、ちょっと違うかも。僕ね、二人のこと、許せないとかじゃなくて、どうしてあんなこと言ったのかなって、ずっと考えてたんだ。そしたら、先生の言葉とか、お姉ちゃんが言ってた『嫉妬』の話とかを思い出して……。きっと二人も、僕のことで、すごく不安だったり、混乱したりしてただけなんじゃないかなって思ったんだ。僕がずっと怒ってても、何も変わらないでしょ?だったら、僕から話しかけて、仲良くなれたら、それが一番いいなって」
その言葉に、今度こそ、お母さんもお姉ちゃんも心から驚いていた。自分の痛みよりも先に、相手の気持ちを想像しようとする玲央の優しさと強さに。
「そう……。玲央は、本当にえらいわね」お母さんが、感極まったように言う。
「……あんた、ほんと、すごいわ」お姉ちゃんも、呆れたような、でも最高に誇らしいというような顔で笑った。
最強のコーディネート
そして、次の瞬間、お姉ちゃんの目がキラリと輝く。
「じゃあ明日は女子会だね!玲央のおかげで決まった女子会だから、主役は玲央よ!玲央は参加メンバーの中でいちばんかわいくしていかなきゃ!お姉ちゃんが、最強のコーディネートを考えてあげる!」
「えーーっ」 玲央は、いつものように困った声を上げるが、もうお姉ちゃんの勢いは誰にも止められない。クローゼットから次々と服が引っ張り出され、玲央の体に当てられていく。
玲央は、お姉ちゃんの言う通りに、明日の服装をベッドの上に丁寧に並べて準備した。その手つきは、少し照れくさそう。でも、とても嬉しそう。




