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いばら姫 6

とっても長い時間、眠っていました。

レグリア卿の腕に抱かれながらレオン王子は塔を

出たのでした。


朦朧とする意識の中、昔の面影を残した親友をじ

っと眺めると、微笑みます。


「レオン王子……」

「ロ……ア…?」

「はい、貴方の親友のロアです」

「……老けたみたいだ…」

「そうですよ。もう10年も経ったんです。もう

 二度と会えないと思いましたよ」


レオンと同じ年だったロードリア・レグリアは

29歳になっていた。


19歳で止まったままのレオンに比べたら、老け

て見えても当たり前だった。


レオン王子は目を覚ました日の朝。

いばらは消え、支えていた塔は崩れて落ちたの

だった。


女王となったシェリーは、まだ幼さの残る兄を

見つめると、嬉しくて泣き出しました。


魔女の力によって、王子は目覚めたのです。


「魔女様、お兄様を助けてくれてありがとうご

 ざいます」

「いいえ、まずは助かってよかったわ。ですが

 王子の呪いはまだ続いています」

「それなのですが……本人も大丈夫そうなので」

「ですが、王子の呪いは……」


シェリー女王は、ニッコリと笑って、それ以上

言わなかった。


『女性を愛せないだろう』


その言葉通りなのだとしたら、今後世継ぎは期待

できない。


だが、レオン王子はそれを気に留めなかった。

それは、そばに愛する人がいるからだろう。


シェリーも分かっていた。

結ばれる事のない関係。


もし、レオンに王位を渡してしまったら、きっと

不幸になるだろう。


女性を愛せないという事は、世継ぎは望めない。


「シェリー、ちょっといいかい?」

「えぇ、構わないわ、お兄様」


レオン王子が目覚めてから、しばらくはレグリア卿

が甲斐甲斐しく看病していた。


ある程度元気になると、国の公務を取り仕切るよう

になっていた。


わからない事は、全部レグリア卿が教えたのだった。


そして、やっとレオン王子はシェリの所へ会いに来

たのだった。


「お兄様、あまり無理をなさいませんよう」

「あぁ、大丈夫だ。だが、僕がいる事で民の不安を

 煽っている様だな……」

「そんな事は……」

「この国はシェリーが守ってきたんだ。僕が何かす

 るわけはないのにな……」


レオン王子が目覚めてからというもの大臣達が忙し

なく動き始めたのだった。


どっちの勢力につくか……と。


本人達の知らぬところで派閥ができていた。

それを知ったのは、つい最近の事だった。


貴族の招待を受けて、出かけた先で聞かされたの

だった。


「僕は、この国を出ようと思う」

「お兄様!その様な事は……」

「いや、国を分裂させてはいけない。だから…」

「レグリア卿と出ていくのですか?」

「……あぁ」

「そう……ですか。」


シェリーは大きなため息を吐くと、空を仰いだ。

そして、口を開いたのだった。


「お兄様は、レグリア卿が好きなのですか?」

「………あぁ」

「そうですか。では、止める事はできませんね」

「すまない。」


兄妹として、国を支えていきたい。

そう言いたかったが、それは国を分裂させかねな

かった。


その上、同性愛者となれば、国の信頼をも歪ませ

てしまう。


だから、レオン王子はこの国を出ると言ったのだ

った。


シェリーもそれは分かっていた。

毎日、レオン王子のいるいばらの塔を眺めるレグ

リア卿をずっと眺めてきたのだから。



旅立ち前夜。

騎士の宿舎を出るレグリア卿がいた。

荷物をまとめるとに馬車へと詰める。


そこに近づく人影があった。


「荷造りは終わったのか?」

「レオン……それはお前もだろ?」

「僕はもう終わっている。本当に僕と一緒でいい

 のか?」

「何を今更いうんだ。俺はずっとレオンを好きだ

 ったんだぞ?今更疑うのか?」

「違う……シェリーはロアのこと……」


まだ連れて行くことに迷っているレオンの胸ぐら

を掴むと、引き寄せ深い口付けをしたのだった。


「俺は、レオンが欲しいんだ。レオンは俺じゃ嫌

 か?」

「違う……ロアがいい。僕も、ロアと一緒がいい

 国を捨てても構わないほど、好きなんだ」


初めて、口にした本音だった。


王子という身分でありながら、国を捨ててでも好

きな男を取る。

それがどういう事か、知らないわけではなかった。


隠居した父が知ったら、直ぐに連れ戻そうとする

だろう。


だから早いうちに出て行った方がいい。

最近では、レグリア卿とレオン王子の仲の良さは

城中に知られていたからだった。


寝室をも一緒に寝ているとさえ囁かれている。


朝方、レオンの寝室から出て行くレグリア卿が見

られていたせいだろう。


「騎士の身分も捨ててもいいのか?本当に…」

「レオンが手に入るなら、騎士の身分など欲しく

 はないよ。レオンの為になった騎士だしな」


真っ直ぐに見つめる瞳を見ると、そのまま抱きつ

いていたのだった。


それから、国はシェリー女王が他国の王子と結ば

れると、世継ぎを産んだのだった。


たった一人の魔女は宮廷医師として、その国に仕

え、続けたのでした。



レオン王子の呪いは、そのままでも幸せな二人を

見せられ、ただ一言祝福を与えたのだった。


『女王の代は未来永劫、国を発展させるだろう。

 王子は自由に生き、大事な人と幸せに過ごすだ

 ろう』


この言葉は、魔女が亡くなるまで、言い続けた事

だった。


いばらに囚われた王子は、愛する人のキスで目覚

め、国を出て幸せになりました。

おしまい。


めでたし、めでたし……。

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