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いばら姫 4

レオン王子が死んだ様な眠りについた日。


シェリーは18歳の誕生日を迎えた。


他国の来賓には、お引き取り願い、国だけで質素

に祝われたのだった。


その日から何度も塔の周りの薔薇の除去が行われ

たが、ただ犠牲者を出すだけだった。


親友だったロードリア・レグリア卿も何度も来た

のだが、いばらに阻まれレオンを見ることさえも

出来ず、生死の判断さえもできなかった。


ロードリアの剣術の練習後は、必ず塔の前で話か

ける習慣がついた。


シェリーはというと、王子を失った国に唯一の王

女とあってか、求婚が絶えず来ていた。


レオン王子がいばらの塔に閉じ込められて一年が

経ったのでした。


いつもの様に塔の前にはレグリア卿とその横には

シェリー王女が毎日の様に来ていました。


いばらに囲まれる塔の中は見ることは愚か入る事

もかないません。


「お兄様は……もしかしたらもう………」

「生きている。シェリー様が信じなくてどうする

 のですか?」

「でも……私が探検しようなんて言わなければ…

 いえ、私が勝手に部屋に入り込まなければ…お

 兄様は止めたのに…」


レオンの静止も聞かず無防備に入ったシェリーを

庇う様にレオン王子は倒れ込むと動かなくなって

しまったのだ。


慌てたシェリー王女が塔を出た時には、すでにい

ばらが塔に絡みつく様に枝を伸ばしていた。


「あの人はきっと生きています……俺はそう信じ

 ているんです。きっとまた会えると……」

「レグリア卿……もしよかったら、私と結婚して

 くれませんか?そしてこの国で、お兄様を守っ

 て欲しいのです。父がこの塔を壊そうとしてい

 ます。お兄様はきっと上で生きている。そう思

 うのです」

「……」


シェリー王女の願いは、すぐに打ち消されたので

す。


「俺は生涯独身を貫くと決意した身…どうかお許

 しください」

「……それは本当に残念だわ」


二度目の告白は、完全に振られる形で幕を閉じた。


一国の王女であっても、本当に好きな殿方とが結

ばれぬものなのだろう。


「お兄様を身代わりにしてしまった罰なのね…」


シェリー王女は納得すると、護衛騎士に任命する

とそばに置くことにしました。




その頃、王様がとある法令を発動しました。


魔女という魔女を捕まえてひっ捕えてくるように

と、国中に出したのです。


それを止める事は誰にも出来ません。

側近の大臣達も、ただ見ているだけです。


そこへ、護衛であるレグリア卿を連れたシェリー

王女が現れます。


「お父様、いったい何をなさるのですか!」

「おぉ、よく来た。シェリーよ。」

「お父様!」


シェリーを見ると喜び腕を広げて手招きすると、

笑顔で怖い事を言ったのです。


「国中の魔女を処刑するんだよ。レオン王子を死

 なせた罪を取ってもらわねばなるまい」

「なっ……お兄様は死んではおりませんわ」


何度言っても聞く耳を持ちません。

そのうち、国中から魔女と呼ばれる女性が集めら

れて来ました。


その中には、王子、王女が産まれた時に祝福をし

た11人の魔女達もいます。


「おやめください。こんな事をしては、国が立ち

 行かなくなります。お父様」

「よい、庭で行うとしよう。連れて行け!」


兵士達に引きずられるようにぼろぼろになってい

く魔女達。

服は破け、肌はズタズタに引き裂かれています。


「何をしたのですか?お父様……」

「あぁ、少し鞭打ちをしたのだろう。国を乱した

 報いを受けるべきだろう?」


もう真っ当な政治が出来る状態ではなかった。


王女には、今の現状を止めるだけに力はない。


「レグリア卿……せめて、魔女様達をなんとか救

 えないでしょうか?」

「それは………我らも反逆者となると言う事です

 か?」

「それは……」


確かに、王女の言っている事は、反逆者になれと

言っている様であった。

レグリア卿には、会いたい人がいる。


今も塔の中でたった一人で閉じ込められているで

あろう心を寄せる主。

結ばれる事はなくとも、ただそばにいるだけでい

い。

そう思える人を見るまでは、死ぬわけにはいかな

かったのだ。

それが、シェリー王女の命令だとしてもだった。


「そうね……わたしには権力も何もないわね……」

「………」


もし、王妃様が生きておられたら……。


きっとこんなことにはならなかったかもしれない。

いや、レオン王子が生きてさえいたなら。


そんな事を考えている間にも、魔女達は引きずり

出されると、庭に並ばされていた。


一人目の魔法は泣き崩れ、命乞いをします。


『どうか、ご慈悲を……』


「やれ!」


王様の無慈悲な言葉に熱せられた鉄の棒が魔女の

背中を打ちます。


触れて拍子に肉が焦げる臭いが辺りに広がり、騎

士達は眉を顰めました。


数回打ちつけると、動かなくなりました。

引きずられて連れて行かれます。


二人目の魔女が連れ出されました。


『なんと、この様な仕打ち…いっそほろ…ぎゃぁ』


言い終わる前に赤く焼けた鉄の棒が魔女の口の中

へと押し込まれます。

喉が焼けて、皮膚が破け、とめどなく血が滴りま

した。


「言葉など無用だ、すぐに次を連れてこい」


王様の命令に、兵士は目を瞑ります。

次から次へと連れて来られた魔女は、動かなくな

るまで鉄の棒で叩かれました。


庭には、血と、焼けた肉の臭いがしばらく残る事

でしょう。


最後の一人となっても、王様は顔色ひとつ変えま

せんでした。


全員が息絶えると、王様はやっと席を立ちました。


「これからは、魔女などいらぬ。見つけ次第殺せ」


この国から魔女がいなくなった瞬間でした。


他国へと逃げ延びた魔女達は、二度とこの国には

来ないでしょう。


ずっと見ていたシェリー王女は、心に決めます。

この国を変えるのだと。







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