【プロットタイプ・番外】貴方になら
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。
これは読者様の問題ではなく、私の問題。
詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。
注意事項2
まぁ、居心地良いんだろうな。
来世は絶世の美女に生まれ変わって、様々な人と沢山の関係持って、その中の一人に背中刺されて死にたいと思ってます。
男性の方が向いてるかな。
――君が男の人なら付き合ってたのに。
――実は私、浪人してて。……周りの皆にも言えてくて……。
――実は私、お母さんいなくて、ひとり親で。小学生の時からの友人にも言えてない秘密なんだけど……。
そんな話を時に悔しそうに、時に苦しそうに私に伝えて来た。けれどもそんな話達は、私の中でそこまで驚く事でも、引いてしまう事でも、亀裂を入れる事では無かった。だから時に笑ったり、時に穏やかに、何時も返した。
――あはは!! 御免だよ〜。だってアンタ、すっごい気まぐれじゃん。付き合っても捨てられる様な人と付き合わないよ〜だ。
――なんだ、てっきり『貴方のこと、初めて会った時から大嫌い』って言われるのかと思った。私の中では全然普通の事だよ。全然、心配しなくて良いよ。
ただそこに違和感が脳裏を掠めたのは、大学時代の事だった。私と最も仲の良い子が、私に相談を持ち掛けて来た。
――言っていいのかな……実は私、内定貰って。
――あら、おめでとう。
その時、季節は秋だった。私の内定は一つも取れておらず、日々焦りを感じていた時期だった。けれども其れと君が内定を取れたことは何一つ関係がない。受からないのは私の努力が足りないから。だから、この子を私と同じ様に『引き摺り込む』訳にはいかなかった。
――で、これからの事悩んでて。このまま就活を続けるべきか、本当にやりたい事見つけるまで、頑張るか。
彼女の幼いころからの夢は自分は花屋だった。何でも母が昔からガーデンニングが好きで、花に触れ合う機会が多かったから、そんな夢を見たそうだ。
幼い頃から見続けた夢、それをまだ望み続けるか、考えている様だった。
大切な相談だった。茶化してはいけない相談だった。だから私は彼女と真剣に向き合うことにした。
――まぁ、まず、内定おめでとう。一区切りお疲れ様です。で、相談の回答なんだけど、君の好きにしたら良いと思う。まだ就活頑張れる。花屋になりたいって言うなら、続けるの全然あり。だってまだ就活やってるし、私もやってるから、一人じゃないよ。
でももう疲れたって言うなら、辞めるのもあり。今どき転職するのも珍しくない。一度そこで働いて、お金貯めてから再出発するのもあり。もしかしたら今の内定先があってるかも知れないし。趣味でガーデンニング続けたいって言うなら、そこでも続ける事は出来る。
だから好きにしたら良いよ。でも後悔だけは絶対にしちゃ駄目だよ。
私は貴方じゃないの。絶対に貴方になれないの。ガーデングが好きで花屋になりたいと思った事はない。まだ就活頑張れるか分からない。本心がどうなのか知らない。
だから決定権は貴方にある。貴方の人生なのだから、貴方が好きにしたら良いよ。
――分かった。じゃあ就活辞める。でも受かった後、合わなければまた考える。有難うね。相談。
――構わないよ。
そうして全て終わったかの様に思えた。何でもない日常会話に移る筈だった。しかし、彼女の一言で思わず顔が強ばってしまった。
――実はこの話、お父さんに言ってなくて。
うん!?
――いやいやいやいやいやいやいやいや!! それは相談しないと!! 多分、いや、絶対心配してると思うし!! 高々数年の付き合いの私よりも、お父さんの方が付き合い長い訳だし!! そこは相談しないと!!
しかし彼女は暗い顔をして、ただぼんやりとこう言った。
――だって相談しても茶化されるし。お母さんには伝えたけど……。だったら君に相談したいなって。
確実に、この子のウエイトが父よりも私の方に傾いている。重要な話を父ではなく、私に伝えている時点で、かなり危うい気がした。本人は気付いてないようだけど。
あぁ……そう言えば昔からそうだった。皆、結構重たい話を私に話してくれた。何故そんなに私を求めるのだろう。
そんなことを考えていると、大学時代の友人から、連絡が入った。
――あのさ……相談乗って欲しいんだけど、というか愚痴聞いて欲しくて、何時空いてる?
「言っとくけど、メンヘラホイホイ兼メンヘラ製造機だけど、本人の性格はかなり真っ当だから。人の話を茶化さないし、しんどい時にはかなり真剣に向き合ってくれる。
あと秘密厳守。暴露話された時『え、あの子から言われてないの?』の枕言葉がつく」
「なんでそれなのに、メンヘラホイホイ兼メンヘラ製造機なんだよ」
「真っ当だからだよ」
そう言って鏡花は笑った。
鏡花の友人、メンヘラホイホイ兼メンヘラ製造機の話。
この上記の内容は、多分、鏡花に話した訳ではなく、相談をした本人から聞いた話を再構成したものだと思います。
口は硬いって言ってるからね。
『言っちゃいけない』と思った事は、突かれない限り、黙ってる。
そもそもカミングアウトな話を突っつく事は、信頼関係がないと無理なので、相手も必然的に話さない。だから必然的に自分も話さないという鉄壁の構図。
メンヘラホイホイ兼メンヘラ製造機ですが、根がものすごく善性。
自分は内定取ってない。相手は取ってる。
それなのに嫉妬の一つもしないで、真剣に相談乗れる。
この事からも、かなりメンタルゴリラ。
そりゃ母親が自分に依存してて、それを受けながらも上手くやれてた時点でメンタルゴリラだよ。
これね、相手がノンデリって訳でもなさそう。
根拠は上記に乗せた『カミングアウト』。
何言われても動じない。過度に驚いたり、引いたりしない。相手の望む回答を出せてる。
だから『貴方になら言っても大丈夫』、『普通なら遠慮することでも、言ってしまおう』という心理が働いてるんだと思います。
それが例え、自分が苦しい状態でもそうだと、友人も判断した。というだけの話。
こういう人ってカウンセラーとか向いてそう。あとは水商売。
どちらも人の心理に密接に関わる仕事です。
私の来世の夢は、絶世の美人に生まれ変わって、沢山の人と交流を持って、その中の一人に背中刺されて死ぬことです。
前にも書いたね。私の破滅願望。
太く短くってのが、ちょっと羨ましい。