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第3回 IQは20違うと会話できない

 IQが離れた人の間でのコミュニケーションは、お互いに相手の考えを理解するのが困難(こんなん)になる。その目安となる境界線はIQ差20あたりと言われている。

 これを大人(おとな)と子供の会話で考えると、IQ20の差は大人と小学校6年生をイメージすればいい。大人(おとな)(むずか)しい言葉や考え方を()けて、わかりやすく丁寧(ていねい)に話せば形の上では対話は成り立つ。しかし、それは大人(おとな)の側に一方的に()(たん)させることが前提(ぜんてい)で成り立つコミュニケーションだ。IQに差がある場合も同じで、差は大きいほど高い側の負担が大きくなる。

 そのためIQの高い側の人が途中でコミュニケーションをあきらめてしまう場合もあるが、ほとんどの場合はIQの低い側が知力差を感じて理解をあきらめるケースが多いのではないだろうか。

 ところがIQの低い側の人が相手との知力差には気づいたものの、低い側が上司や教師のような目上の立場だったり、非常にプライドの高い人だったりした場合、「自分の方が頭が良い」と思い込んで次のような三段階の行動を起こしやすい。

  ・IQの高い相手を見下す

  ・自分の理解不足を()(がい)妄想(もうそう)(おぎな)

  ・プライドを守るために逆ギレ、逆怨(さかうら)みが始まる。

 当然、このようなケースが発動した場合は、その後のコミュニケーションは(こわ)されて成り立たなくなる。


 最初に起こるのは、IQの低い側の人が相手の発想や考え方を理解できない理由を、「相手が間違ってる」「相手はバカだ」「自分の方が知力も知識もある」と決めつけてくる行動だ。

 こういう現象はSNSで、よく見かけないだろうか。

 たとえば大型掲示板で専門的な意見交換をしてるところへ、義務教育レベルや地上波テレビの間違った番組知識で乱入してきて(えら)そうに語り、最後に「そんな常識も知らんのか」と見下してくる人が良い例だ。

 知識も視野も(せま)い人ほど、ちょっと聞きかじっただけで「自分はすべてをマスターした」と思いこむ認知バイアス現象がある。昨今(さっこん)、ネット上で名前がよく出てくるダニング・クルーガー効果だ。IQの低い側の人が「自分の方が知力も知識もある」と思い込むというのは、まさにこういう状態である。

 昔から言われる「馬鹿(ばか)と天才は紙一(かみひと)()」も、平均的な人たちからはIQの高い人の考えが、何かの賞を取るようなハッキリとわかる成果が出てくるまで、まったく見えないことを語っているのだろう。

 低い側がIQ差に気づかないまま子供を(あつか)うような物言いで相手に接してくると、さすがにIQの高い側も「この人とは対話できない」とあきらめることになる。


 更に悪化するとIQの低い側の心に()(がい)妄想(もうそう)が生まれる。

 生き物には防衛(ぼうえい)本能(ほんのう)がある。そのため自分の想像できない相手や未知のものに対して警戒心(けいかいしん)を持つのは自然な感情である。ここで(まと)はずれな邪推(じゃすい)()(わく)──都市(とし)伝説(でんせつ)風に言えば陰謀論(いんぼうろん)が出てくるのは、ある程度は仕方のないことだ。

 この段階では自分の想像力不足を「相手が間違ってる」ではなく、「この人はウソをついている」「自分をだまそうとしてる」と自己正当化した時に始まる。そしてIQの高い人に対して「こいつは反抗(はんこう)(てき)だ」「自分の足を引っ張ろうと何か仕掛けてくるぞ」という被害妄想が(ふく)らんでくる。やがて「やられる前に何かしなくては」という(きょう)(はく)観念(かんねん)に支配されて、これが職場でのパワハラや学校でのイジメの原因となることもある。

 中には被害妄想とプライドの高さから、ウソの記憶を作り上げてしまう人もいる。これは本人の中では事実として記憶されてるから、真実を示しても納得しないという心理を生んでしまう。

 またIQの高い人は応用力を()かせて(りん)()応変(おうへん)な対応を見せたり、先を見越して手を打っておいたりと、物事を(よう)(りょう)良く進めることがある。ところがIQの低い人の中には自分の準備不足や能力不足を(たな)に上げて、「何か不正を働いてる」「裏で何かやってないと、人間にはできないはずだ」などと思い込む人がいる。こういう人が自分の無知から身勝手な正義を振りかざし始めると、始末に()えない状態となっていく。

 これらはどれも厄介(やっかい)な人間心理である。


 とはいえ被害妄想までなら人間心理の問題でもあるので、ある程度は情状(じょうじょう)酌量(しゃくりょう)余地(よち)はあるだろう。

 ところが、ここから先の段階へ進むには、

  ・相手の知力の高さに気づいてしまう

  ・自分の無知や無能を誤魔化(ごまか)せなくなった

 という気づきがあり、そこでトリガーが引かれると越えてはならない一線を越えてしまう。

 そこからはIQの低い側の人が自分のプライドを守るために、まず相手に『()道徳(どうとく)な人』『身勝手な人』『ウソツキ』『性格が悪い』『()(けん)人物(じんぶつ)』『社会(しゃかい)()適合(てきごう)(しゃ)』などのレッテルを()るためのウソの話をでっちあげ、そして逆ギレや逆怨(さかうら)みによるプロパガンダが始まる。

 もっとも、元々のIQが低い人の作ったプロパガンダは、調べればすぐにウソとわかるデマである。ターゲットにされた人をよく知っている人たちにとっては、どうしてそんな話が出てくるのか不思議に思うこともあるようだ。

 しかし問題となるのは、プロパガンダを社会的な地位や立場のある人が(おこな)った場合だ。多くの人は肩書きに(だま)されやすい。そのため見え()いたデマですら(うたが)いもなく信じる人が多いので、この陰湿(いんしつ)(さく)(りゃく)は、かなり高い確率で成功してしまう。それに加えて世の中には「本人の性格の問題」「被害者にも責任がある」という便利な言葉がある。事実関係を知らない人には、自分の心を(いた)めずに他人(ひと)(ごと)として済ませられる魔法の言葉だ。やられた側からすれば、これほどの理不(りふ)(じん)はないだろう。

 こういう事件を何度も起こされると、IQの高い人たちはイヤでも人間不信へと追い込まれていく。


 このような現象が起きてしまうため、IQの離れた人たちと交友関係を続けるのは、非常に難しくなる。

 IQが真ん中(日本ならIQ105あたり)の人ならば、難なくコミュニケーションの取れる相手は世の中の8割以上もいる。その中から気の合う友人を見つけるのは難しくないだろう。

 ところがIQ130となると、その数は4分の1にまで減ってしまう。

 これがIQ150となると、わずか2%の人たちとしか深いコミュニケーションが取れないことになる。その中から気の合う友人を見つけるとなると、かなりの困難(こんなん)(ともな)うだろう。

 そのせいもあってIQの高い人は、イヤでも()(どく)というか()(こう)な存在になるしかなくなっていく。

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