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短編~集中系

ギターリフ

作者: 河田 真臣

 夜の闇が静かに広がるカビ臭い物置部屋。

 薄暗いランプの光が、かすかなオレンジ色の暖かさを投げかけている。

 俺は、ウイスキーグラスを傍らに置いて、椅子に座り直した。


 低音の弦が静かに鳴り響き、部屋全体を包み込んでいく。

 音の波が床を伝い、足元から胸元までじんわりと広がる。

 その音は、荒れ果てた大地を思わせる無骨さと、遠い空に消えていくかすかな夢のような儚さを持ち合わせていた。


 リズムが刻まれるごとに、心臓の鼓動がそのビートと一体化し、徐々に加速していく。

 初めはただの繰り返しだったはずのリフが、今では俺の呼吸と一体になっている。

 部屋は静かで、ただ俺とギターだけが存在しているように思える。


 次第にリフは高まり、より鋭く、より激しくなる。

 指が滑らかに動き始め、リフが少しずつ勢いを増していく。

 音が空気を切り裂くたびに、胸の奥に隠れていた感情が解き放たれる。

 苛立ち、焦り、何かを叫びたい衝動が、音になって弦を通じて放出されていく。


 指が弦を弾く瞬間、その一撃は稲妻のように空気を切り裂き、鋭く光を放つ。

 ギターのネックを走る音は、まるで遥か彼方の峰から響いてくる山鳴りのように、重厚でありながらも遠く高く昇り続ける。

 音が空気を振動させ、鼓膜に直接訴えかけるその瞬間、世界が音だけで構成されているかのように感じられる。

 まるで瞑想するかのように、単純なコードを繰り返す。

 指先が弦に触れるたび、深く柔らかい音が部屋の隅々まで染み渡っていく。


 繰り返されるリフが、徐々に変化し始めるのは、何度目かのリピートの後だった。

 弦を掻き鳴らすスピードが少しずつ加速し、音が次第に熱を帯びていく。

 穏やかだったリズムが、次第に力強さを増し、部屋全体を揺るがすかのように響き渡る。


 心の奥底から湧き上がる情熱が、ギターの音に乗って外に放たれていく。

 弦を掻き鳴らす手が止まることはない。

 リズムは次第に荒々しく、そして激しさを増していく。

 音が床を震わせ、壁に反響し、体をも共鳴させる。

 ひたすらに繰り返されるリフは、まるで嵐の前触れのように、不穏でありながらも力強い。


 やがて、その音は限界に達する。

 俺の手は弦を掻き鳴らし続け、リフは激しくうねりながら、まるで怒り狂う嵐のように荒れ狂う。

 世界が音だけで構成され、他のすべてが消え去ったかのように。音の波が、次々と押し寄せては引いていく。


 体は、ギターと一体となり、リフと共に暴れ続ける。

 音が感情を解放し、存在を超えて広がっていく。

 徐々に激しさを増し続けたリフは、ついに頂点に達自分自分がその音の中に溶け込んでいくような錯覚に囚われる。そして、その激しさの中に、どこか清々しさが芽生えてくる。


 ギターを弾き続ける。弾く。弾く。弾く。ただ弾く。弾き続けることしか知らない阿呆の如く。

 まるで終わりのない旅路をひたすら進み続けるように、リフは途切れることなく響き渡り、その音は無限の彼方へと広がり続けるのだった。


 そして、リフはゆっくりと終息に向かう。

 最後の一音が弦を離れ、空間に残るのは、余韻だけだ。

 その余韻は、静かに、しかし確かに、心の奥底で響き続ける。

 まるで深夜の海辺で、潮の満ち引きを静かに見守るような、静謐で心地よい感覚が広がっていく。


 それでもギターは名残惜しそうにキュッと鳴く。

 俺はグラスを飲み干し、ランプを消した。

 描写練習で。まあ、お話になってませんが。

 もうちょっとテクニカルな描写も入れた方が良かったかも。

 でも、あんまりマニアックになってもなあ。

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