…♡
エイアールは扉の鍵を閉めた。
なんで鍵を閉めたんですかね。
「さあ、脱げ。全部じゃ。」
エイアールは僕の服を引っ張る。
「ぜ、全部ですか?」
「そうじゃ。」
実は高齢とはいえ、見た目少女の前で裸を晒すのは恥ずかしすぎる。
しかも、部屋には僕とエイアールの二人きり。
間違いを疑われる状況になるのも困る…。
「あの、なんで鍵を閉めたんですか?」
「何かのはずみで扉が開いたら、恥ずかしいのはお主じゃぞ。」
ああ、そうです。そうですよね。脱ぐんですから。
「早ようせい!」
「は、はい。」
急かされて上着を脱ぐ。エイアールはまじまじと見てくる。
「ほう、しっかりとした筋肉がついておるの。」
「父さんの木こりの仕事を手伝うので、自然と鍛えられました。」
「トドメの一撃が出せたのも、この肉体のおかげじゃな。」
「そうでしょうか?」
「バフは元の力を上昇させるものじゃ。鍛えておればバフの効果は大きくなる。」
エイアールは僕の上半身を眺め、
「下着もじゃ。」
やっぱりかぁ。
「それは何とかなりませんか。」
「体質の謎を知りたくはないのか。」
知りたい。
だけど。
「脱がないとダメですか?」
「そう言っとる。」
観念して下着を下す。
「手をどけろ。」
「え~。」
「どけろ。」
…言い方がキツイ。
エイアールは長老より年上なんだ。気にしちゃいけない。
諦めて僕は手をおろした。
「ほう…♡ まあ、これは立派な。」
「やめてください。」
まじまじと一点を見つめられて、腰が引ける。
「さて、検証じゃ。バフとデバフを掛けるぞ。」
さすが最強賢者様。
ちゃんとやる事はやるみたいだ。
「まず体力上昇。」
エイアールがスキルを発動する。
「何か動いてみた方が良いですか?」
「いや、そのままで良い。次にスピード低下。」
体の動きが鈍くなるのを感じる。
今、何かあっても逃げられない…。
いや。そうなったらバフのスキルを発動すればいい。僕はデバフを打ち消すことが出来るんだ。
「そして気力上昇じゃ。」
「あの、すいません。どうやって判断しているんですか?」
エイアールが指さす。
「ソコの反応を見るのが一番分かりやすいんじゃ。」
「ちょ…。」
だから脱げと言ったのか…。
僕は諦めた。
その晩、何度も何度もスキルを掛けられ、僕は観察された。
「とりあえず、今日はここまでじゃ。」
「何か分かりましたか?」
「ふむ。普通、バフやデバフは徐々に効果が薄れるのじゃが、お主は上書きされるように入れ替わっておる。」
「原因とかは…」
「それは分からん。」
あんなに恥ずかしい思いをしたのにぃ~!?