アップデート
「父さんは、どうして……」
僕は呻いた。
神様は、僕の小さな声もちゃんと聞いていた。と言うよりも、考えていることが常に分かっているようだ。
「オンプレの行動と、その動機も判明しています。知りたいですね?」
僕は無言で頷いた。
父さんが考えている事も、神様は分かっているに違いない。
「クラウド。あなたが生まれた頃、彼は『SSスナップ』のスキル二回分の準備をし、一度目はあなたの母を犠牲にスキルを発動しました。装備者にバフが掛かることを、あなたで確認するためです。」
父さんが、僕を実験台にした?
あの優しい父さんが?
でも、父さんは母さんが死んだ理由を教えてくれなかった。
「大量の永続バフが掛かったあなたは、バグのためにバフの効果は一つしか出ません。彼は『SSスナップ』が失敗したと考えました。しかし、彼は諦めませんでした。」
神様の言葉だとしても、にわかには信じられない。
「あなたに『不変の呪い』の剣を持たせるなどして、様子を観察し続けました。あなたが魔王討伐に行くよう勧めたのも、エイアール氏の元で何か分かることを期待したのです。」
筋は通っているように思う。でも感情が理解を妨げる。
僕には引っかかる事があった。
「スキルを二回準備していたって、父さんはどうするつもりだったんですか?」
「信じられないかもしれませんが、成功していれば、二度目はあなたを犠牲にして、彼自身に永続バフを掛ける予定でした。」
「そんな……父さんが僕を犠牲に?」
「事実です、クラウド。ヴィアール氏は、そんな人間という存在全体に嫌悪感を抱きました。」
僕は何も言えなくなった。信じられない気持ちで胸が苦しかった。
神様は、そんな僕を慮ることなく、話を進める。
「今からアップデートを行い、バグ修正をします。あなたの大量のバフは巻き戻されます。」
「僕の体質が治るんですか?」
「そのとおりです。」
それなら、僕が悩む必要はない。僕ははっきりと答えた。
「お願いします。」
「クラウド。このバグのために長年迷惑をお掛けしました。このアップデートで、あなたの願いが一つ叶うでしょう。」
「僕の…願い?」
僕の質問に答えず、神様は手を掲げる。
その時、目の前が真っ暗になった。
それは一瞬だった。……ような気がする。
気が付くと、エイアールが立ち上がっていた。
「そういう事じゃったか。」
いつものエイアールの声になった。神様との対話が終わったのだ。
「あなたがクラウド?」
いつの間にか知らない女性が僕の横に立っていて、話しかけてきた。
スキル効果紹介(SSクラススキル)
SSIDステルス【光属性】姿が消えて隠密状態となる禁断の秘術
SSスナップ【竜属性】キャラクターを生贄にして、強力な剣を作り出す禁断の秘術




