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イチゴのタルト  作者: ヤン
第二章 普通の恋
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第六話 中田家

 ホールを出て辺りを見回すと、白い車がクラクションを鳴らしてきた。窓を開けて私の方を見ているのは、里菜(さとな)さんだった。急いでそちらへ向かうと、「ありがとうございます」と言ってから助手席のドアを開けた。座席に収まると里菜さんは微笑み、


「じゃ、出発です」

「出発」


 里菜さんの口調を真似て言う弥生(やよい)ちゃん。どちらかというと、中田(なかた)さんに似ている気がする。


「今日、どうだった? 楽しかった?」

「すごく、良かったです。もう、なんだか、世界中の人に聞いてもらいたかったです」


 私の言葉に里菜さんは笑ったが、


「そうか。そんなに良かったんだね。来た甲斐があったね」


 里菜さんの言葉に私は深く頷き、


「はい。もう、号泣でした」

「すごいな、それ」


 話をしている内に、車は中田家に着いてしまった。自宅兼店舗。里菜さんは自分で服を作って売っている。


「さ、中に入って。ミコ、ここに来るのは初めてだったね」

「はい。初めてです。いつか来たいと思ってました。想像していたより、ずっと素敵です。お仕事の後でお疲れなのに迎えに来て頂いて、ありがとうございました」

「だって、光国(みつくに)が心配しちゃって。頼むから迎えに行ってくれって言うからさ。あの人、本当にミコのこと大好きなんだね」

「えっと。はい。そうだと思います」


 否定せずにそう言った。私はあの人が大好きで、あの人は私を大好き。そうに決まっている。違ったら悲しい。


 里菜さんは私の肩を軽く叩くと、


「じゃ、ミコ。こっちに来て」


 里菜さんの後について行く。一番奥の部屋のドアを開け、「どうぞ」と言う。


「明日になったら光国に会えるからね。あ、ツヨシにもね。今日はここでゆっくり休んで」


 シャワーを使わせてもらった後、布団に横になった。コンサートが脳裏によみがえる。気分が高揚して、眠りについたのは明け方近くだった。

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