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世界は色をもたない  作者: 由稀
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3


昼食を終え、クラスの違う弘樹と別れ、一人は晶と次の授業へ向かっていた。

体操服に身を包み、体育館へ向かう。体育館ではバレーネットが張ってあり、これから行う授業の種目を伝えていた。

早めに来ている同級生が既にバレーを始めており、笑い声が響いていた。


「お!鹿島たちもしよーぜ!」

声をかけられ、晶と一人もおーと手を挙げた。

遊びでバレーをするのは楽しい。


「あ、ヤッベ!」


声と共に、打たれたボールは高く上がり、倉庫の中に吸い込まれた。

ボールが体育館の倉庫に収まっている備品にあたったようで、派手に崩れる音がした。先ほどまで遊んでいた同級生が肩を竦める。

「俺、取ってくる。」

一人は体育館シューズを手早く履き、倉庫へ足を進めた。倉庫へ進む間に、体育館シューズを足に馴染ませた。


倉庫を覗くと、バレーボールのせいで荒れている内部が見えた。

モップが好きな方向へ倒れ、これから使うであろうビブスが入った籠も逆さまになっていた。

一人は籠を正しい位置に戻し、床に残ったままのビブスを乱雑に籠に戻した。

倒れているモップを起こしながら吸い込まれたバレーボールの在処を探す。


バレーボールはのバスケットボールが固まっている籠の中にあった。


くすんだ茶色の中に白と赤と緑のバレーボール。


異物だと認識できる。


そこに居てはいけないものだと認識できる。


一人はバスケットボールの中に入れられた歪なバレーボールが少し可哀想になり、両手で取るために体全体をバスケットボール籠の方へに伸ばした。



その瞬間。



中から一人の手を引く感覚があり、一人が手を引く前に、さらに奥へと引き込まれた。虹色よりも多くの色が一人の周りを彩り、あまりの眩しさに一人は一瞬目を瞑った。


その一瞬で手は自由となり、自由になった手で視界をクリアにするために目を擦った。


眩しい虹色はまだ一人の周りを彩り、一つ一つ色を消し、最後は黒色になった。



一人の意識はそこで途切れた。


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