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剣がジワリジワリと近付いてくる。
カゴ?知らない言葉が投げられる。
こういう時は、転送された主人公はどうやって切り抜けていたのだろう。
本を読んでこなかった自分が嫌になった。
汗が滲む。
息がまた吸えなくなっていく。
「やめて。」
先ほどまで、こちらに戦闘態勢を取っていた視線がスズへ移る。
「アイラ、私と、剣を下ろして。」
「しかし…。」
「アイラ、私の言うことが聞けないの?」
アイラはすぐに手元を緩め、剣先と、スズと呼ばれた少女を丁寧に地に立たせた。
改めて、スズと呼ばれた顔を見ると、美しく、整った顔つきをしていた。
そんな少女からした声は冷たく、厳しい声だった。
「申し訳ございません。」
少女とかなりの体格差のある男と、トワイと呼ばれていた女が跪く。
「あなた、きっとこの世界ではない、違う世界から来た人ね。」
かけられた声は先ほどの冷たさは泣く、柔らかかった。
少しだけ息がまた吸えた。




