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「ダイサンコクって…どこですか?俺は何でここに?」
座っていた足に力を込め、立ち上がる。
立ち上がった瞬間に少女の体は体格のいい男に抱えられ、距離を離された。
「貴様、何者だ?どこから来た?答えろ。」
赤い目が鋭く一人を捉える。
「俺は、体育館から…え、ここ日本じゃないの?え…俺、何?」
体育館でもなく、日本でもないところ。
今、流行りの異世界転送もの?でもそれって平凡な俺じゃなくって、晶とか弘樹みたいに秀でたものを持っているやつがするんじゃ…。
グルグルと回る思考。
窓から外を見渡すと、薄暗い空に、見たことのない景色。こ
こが、体育館ではなく、日本でさえないことを告げていた。
「貴様、魔族ではないだろうな⁉︎」
振り向いた先で、鋭い剣が向けられ一人は息を呑む。
マゾクという言葉はゲームや、アニメで聞くあの魔族であれば、敵ということになるのだろうか。
「魔族ではないです!俺は日本人です!」
自分は魔族ではないと、自分は敵ではないと必死に訴える。
「ニホンジン?聞いたことのない種族だ。魔族でないなら、なぜ加護も持たないお前がここで息を吸えている!?」
いや、それは一人が知りたいことだろう。




