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重い空気を緊迫に変える声が、床からした。
三人の視線が声を発した一人に寄せられる。
体を起こそうと動き出した一人を見て、トワイは掴んだスズの腕を再度掴み、自分の後ろにスズを移動させた。
トワイの右側にはアイラが立ち、二人でスズを守る姿勢を取る。
膝立ちになり、頭を押さえながら、一人は顔を上げた。
そこには赤髪で体格のいい男と、濃厚なキスを目の前でしていた銀髪のトワイと呼ばれていた女が立っており、自身を見ている姿があった。
向けられている視線は好意ではなく敵意。
また混乱していく頭を何とか回転させる。
睨んでいる二人を交互に見て、何を言えばいいのか考える。
「あなた、名前は?」
声を発しようとした時、二人の間から柔らかい声がした。
こちらを睨んでいる二人の間から灰色の少女がこちらに声をかける。
「大丈夫?」
少女の目線が自分と揃う。
灰色の目が伺うような視線を向けてくる。
敵意ではない視線にホッとして、一人は固まっていた体を緩める。
「大丈夫っす。あ、俺、鹿島一人って言います。あのここどこですか?」
「カシマカズト?ここは第三国よ。」




