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第六十七段 賀茂の岩本・橋本は(2)

(原文)

今出川院近衛とて、集どもにあまた入りたる人は、若かりける時、常に百首の歌を詠みて、かの二つの社の御前の水にて書きて手向けられけり。

誠にやんごとなき誉ありて、人の口にある歌多し。

作文・詩序など、いみじく書く人なり。


(舞夢訳)

今出川院近衛という、様々な歌集に多くの歌を採り入れられている人は、若い時に、よく百首歌を詠み、ここ賀茂の岩本・橋本社の御前の水で、歌を清書し、神に供えられたとのことである。

素晴らしい名声を得た人で、人々に愛唱される歌が多い。

作文や、詩序においても、素晴らしく書く人である。


※御前の水:岩本・橋本の社前を流れる水。墨をするのに使った。


今出川院近衛は、大納言藤原伊平娘。続古今集初出の歌人。生没年未詳。兼好氏とも面識があったと言われている。



見ずもあらで 覚めにし夢の 別れより あやなくとまる 人の面影

                            (続千載1529)

逢えなかったわけではないが、逢えたと言うほどでも無しに 目覚めてしまった夢での別れから、あの人の面影が目に焼き付いてどうしようもない。



優美にして繊細な歌を詠む歌人と思われるので、兼好氏自身も一目も二目も置いていたのだと思う。

兼好氏が、賀茂の岩本・橋本について書いたのも、敬愛する彼女のことを実は書きたかったからではないだろうか。

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