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第一段 いでや、この世に生まれては(3)

(原文)

人は、かたち・ありさまのすぐれたらんこそ、あらまほしかるべけれ。

ものうち言ひたる、聞きにくからず、愛敬ありて言葉多からぬこそ、飽かず向はまほしけれ。

めでたしと見る人の、心劣りせらるる本性見えんこそ、口をしかるべけれ。

しな・かたちこそ生まれつきたらめ、心はなどか賢きより賢きにも移さば移らざらん。

かたち・心ざまよき人も、才なくなりぬれば、しなくだり、顔憎さげなる人にも立ちまじりて、かけずけおさるるこそ、本意なきわざなれ。


(舞夢訳)

人間は、まず容姿がすぐれていることこそ、望ましいことと思う。

そして、何か言葉を出すについては雰囲気が良く、それでいて口数が多くない人とは、いつまでも一緒にいたいと思う。

そうかといって、立派な人であると思っていた人から、がっかりするような本性を見せられてしまうのは、実に残念なことになる。

身分にしろ、外見にしろ、生まれつきのものがあるので、どうにもならないものがあるけれど、心というものは、生まれてからの努力を積み重ねることにより、どれほどでも賢くなりうると思う。

その逆に、本来は美しくて、人柄が良い人であっても、学識について努力を怠り、結果として劣っていると思われてしまうと、低い身分の人や下品な顔立ちの人の中に混じった時に、彼らにも相手にされず、やりこめられてしまうようになり、実に残念なことになる。



生まれや容姿が優れて生まれて来るのは、まず望ましい。

しかし、その後、何の努力もしなければ、程度低く生まれて来た人々にも、劣るようなことになる。

自分中心で傲慢、しかも話に品がない、そういう人は、一時的にもてはやされたとしても、やがては世間に飽きられ、捨てられてしまう。


「あつかましくないこと」「謙虚であること」「学識を身につける等の努力を続けること」、現代でも十分に通用する考え方だと思う。


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