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第十三段 ひとり灯のもとに

(原文)

ひとり灯のもとに文をひろげて、見ぬ世の人を友とするぞ、こよなう慰むわざなる。

文は文選のあはれなる巻々、白氏文集、老子のことば、南華の篇。

此の国の博士どもの書ける物も、いにしへのは、あはれなること多かり。


(舞夢訳)

ひとり灯火の下で、書物を広げて、異なる時代の人を友としていると、この上なく気持ちが慰められるものである。

その書物としては、「文選」の感銘深き巻の数々。

「白氏文集」。

「老子」。

「荘子」。

わが国の博士たちが書いたものでは、過去のものに、感銘深いものが多い。


※文選:梁の昭明太子撰。春秋末から六朝に至るまでの千年間の詩文を集めたもの。日本には聖徳太子の時代に渡来している。枕草子にも、「ふみは文集、文選、論語、史記、五帝本紀、願文、博士の申文」などと書かれている。

※白氏文集:白楽天(白居易)の詩文集。日本には平安初期に渡来。源氏物語、枕草子等、日本文化に計り知れない影響を与えている。

※老子:老子道徳教二巻。

※南華の篇:荘子の著。老子とともに、道教の根本経典。

※この国の博士どもの書けるもの:日本の知識人が書いた願文、申文と推定されている。



読書の楽しみを、率直に書いている。

名前があがった書物にしても、どれもこれも、素晴らしいものばかり。

それを灯火の下で、他者を気にせず、ひとりで読む。

書物を介して、その時代のその人の言葉を聞く。

その時代の社会のありさまを知る。


現代に生きる私も、その喜びは理解できる。

兼好氏の書も、例外ではない。

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