6年の恋
「全く、冗談りゃないわよぅっ!にゃにが真実の愛よっ」
やや呂律の回らない声で繰り返すのは、カロット冒険者ギルドの受付嬢のメイである。
彼女の前には空になった酒瓶が数本転がっている。
酒場の隅の席で会話が聞こえないとはいえ、冒険者ギルドの受付嬢が酔っ払ってクダを巻くという姿は珍しく、他の客がチラチラとコチラを見ていた。
それでも酔った彼女に良からぬことをしようするものが近づいてこないのは、その向かいに座って甲斐甲斐しく彼女を介抱してるのが、カロットの街では誰もが知っている男だったからだ。
「メイ大丈夫か?気持ち悪くないか?水飲むか?」
がちゃんとメイがなぎ倒した酒瓶を器用に拾い上げ、冒険者のザックはメイの前に水を置く。
「ちがうわよーじゃっぐ、お水じゃなきゅておしゃけっ」
「飲み過ぎだろー?酒はもう終わりな、水飲めほら」
あやす様に言うザックの手を跳ね除け、メイはイヤイヤする。
「だって、飲まずにゃいりゃれないれしょ?6年よ、りょくねん…」
ボロボロと涙を流すメイは、今日、6年付き合った恋人に振られたのだ。
メイが冒険者ギルドで働き始めたのは、彼女が18歳の時だった。
前任の受付嬢が結婚を機に辞めることになり、読み書きと計算が得意だったメイがその後を引継ぐことになった。
仕事はやりがいのあるものだったが、荒くれのような冒険者相手に、怖くて泣く日も多かった。
その頃から腐れ縁のザックは、当時はまだE級冒険者で、メイのことを気にかけてはくれていたけど、荒くれ先輩冒険者を諌められるほど強くはなかった。
そんな時、友人の紹介で知り合ったフリード商会で働くユーリと出会った。
ユーリは冒険者とは真逆だった。物腰が柔らかでメイの話を穏やかに聞いてくれる。怒鳴ったり、椅子を蹴飛ばしたり、ケンカっ早くない。彼女はすぐに彼に夢中になり、付き合う様になった。
それから6年。
メイはずっとユーリと一緒にいた。
1年目。ユーリは優しくて頼りがいがあり、メイは幸せ一杯だった。
2年目。変わらずユーリは優しく、メイは幸せだった。
3年目。そろそろ周りの友人たちの中に結婚する子も出てきた。ユーリは仕事が忙しくて、メイとの将来の為に頑張ってくれているのだと思ってた。
4年目。ユーリに思い切って結婚のことを聞いてみた。ユーリは困った顔で今はもう少し仕事に集中したい、結婚については真剣に考えていると言われた。少し安心した。
5年目。友人たちは殆ど家庭を持っていて、子どもも出来てなかなか会えなくなった。会えても子どもの話や家庭の話ばかりで、なんだか居心地が悪くなった。ユーリは結婚の話をはぐらかす様になった。しつこく聞くと、いかにも面倒くさいといった態度を取る様になった。
そして、6年目―。
ユーリに好きな人が出来たと言われた。こんなに真剣に人を好きになったのは初めてだと言われた。
彼の横には最近商会に入ったミーアという金髪の華奢な美人がいて、碧の瞳を潤ませてこちらを見ていた。
メイは絶望で心が真っ暗になった。血の気が引いてガタガタ震える彼女に、何を勘違いしたのか、ユーリはミーアを背に庇って立ちはだかった。
それを見てメイは理解した。ユーリの心はとっくにメイの元にはなかったんだ。メイを大事なお姫様の様に思ってくれていたユーリは、とっくに居なくなっていたんだと。
彼女は悪くない、オレが好きになって結婚を申し込んだんだ。メイ、もうオレとは別れてくれ。
ユーリはそう言って、ミーアを連れて行ってしまった。仕事振りが商会長に認められて、隣町に出来る商会の支部長になり、ミーアと結婚して、2人で新しい土地で働くのだと言って。
メイだって好きだった。ユーリが本当に大好きで、ユーリのためなら何だってしてきた。
仕事で疲れて帰ってきても、彼のために食事を作り、家の中はいつもピカピカにしてた。
ユーリにワガママ一つ言ったことはない。いつだって彼の希望を優先してきたのに。
『こんなに真剣に人を好きになったのは初めて』って、じゃあ私のことはどう思ってたのよ。真剣に好きじゃないのに、6年も一緒にいたの?
泣いて泣いて泣いて飲んで、酔っ払って何度も何度も同じ話をするメイに、ザックはずっと付き合ってくれていた。
「そんなことない」とか、「お前は何も悪くない」とか、メイが怒ったら一緒に怒ってくれて、泣いたら慰めてくれた。
昔から、面倒見のいいヤツなのだ。無骨だけど、優しい。それはカロットの街を代表するA級冒険者になった今でも変わらない。
だからメイは、ザックの前でベロベロに酔って色々なものを曝け出しても平気だった。腐れ縁だから。
「もういや、一生結婚にゃんかしにゃい、ずーっと、1人で生きてきゅ」
机に突っ伏して、呻くように言うメイに、ザックは眉をしかめる。
「何言ってんだ。結婚するに決まってるだろ」
「しないもん、もう26だし」
「まだ26だろ」
「彼氏に捨てりゃれたし」
「また作りゃいいだろ」
「出来ないし」
「出来るさ」
「出来ない!」
「出来る」
メイはぷーっと頬を膨らませて、半眼でザックを睨む。
「6年も付き合ったあげきゅに、男に捨てりゃれる女、誰がもらってくれりゅのよ」
「俺に決まってんだろ」
至極当たり前のように、ザックは答える。
はぁーん?とメイはザックを睨みつける。
「あに言ってんのよ、なんれザックが私をもりゃうのよ」
「お前に惚れてるからに決まってんだろ」
ポカンとするメイに、ザックは笑う。愛しげに頬を撫で、瞳を獰猛な獣のように鋭くさせて。
「俺だって、6年お前に惚れてんだ。ずっと好きで、好きで、あのヤローがいるのは分かってても、諦められねぇで、ずっとお前の側にいたんだ。もう邪魔者はいないんだから、全力で口説くし逃す気もねぇ。……今日はお前が酔っ払ってるから、諦めてやるが、明日から覚悟しとけよ」
「――!?」
音を立てて額に口付けられ、メイは声にならない悲鳴を上げて後ずさる。しかし酔っ払った彼女の足は役に立たず、ペタリと地べたに座り込んでしまった。
そんな彼女を笑いながら抱き上げ、もう一度額に口付けて、ザックは彼女を家まで紳士的に送り届けてくれた。
そして次の日。
昨日のザックの発言はやっぱり酔った上での戯言だろうと結論づけたメイは、二日酔いに痛む頭を抱えながら、恐る恐る冒険者ギルドに出勤した。
冗談だったとしても、やはり昨日のように酔っ払って醜態を見せたあげく、元気付けるためとはいえ告白めいたことまで言わせてしまったのは気恥ずかしい。出来ればしばらく顔を合わせたくない。
幸いというかなんというか、あれほどショックだったユーリとの別れが、ザックをどうやって避けようと考えるあまり気にならなくなっていた。
そう思っていたメイだけれども、彼女はギルドの受付嬢であり、ザックの担当なので避けられるはずもなく―。
「おはようメイ」
二日酔いなど感じさせない爽やかな顔で、朝一にザックに挨拶されていた。
「お、おはようザック。昨日は」
「冗談じゃないぞ」
ごめんなさいと続けようとしたメイを遮って、迫力のある笑顔でザックは言う。
「お前に言ったことは、同情でも気遣いでもねぇ。俺の本心だ」
メイの手を取り上げて、キスを一つ落とす。
「好きだ、メイ。結婚してくれ」
心臓が煩い音を立ててなる。
メイの顔が真っ赤になる。
その反応を見たザックが、メイの手に口付けたまま、獰猛に笑う。
ヒューっと口笛が聞こえた。ギルドの食堂で朝食を取っていた冒険者達からあがったものだ。
「とうとうザックが言ったぞ」
「何年かかってんだよ、ようやくかよ!」
「おい!メイちゃんがいつ落ちるか賭けよーぜ!」
「1年!」
「3年!」
「バーカ、ザックとメイちゃんだぞ!6年に決まってんだろ!」
『ギャハハハハっ!』
青筋を浮かべ、それでもメイには微笑み「ちょっと待ってて」とザックは言うと、腰の剣に手を掛けながら食堂に向かう。
食堂から野太い悲鳴が聞こえてきたが、真っ赤な顔のメイは、それどころではなかった。
それから。
ザックは本気で、メイを口説き続けた。
朝に昼に夜に愛を囁き、花や服や宝石やお菓子を貢ぎ続ける。
メイが喜べば可愛いと笑い、高価すぎて受け取れないと言えば謙虚だと褒め、もっと食べたいと言えば喜んでプレゼントしてくれた。
気づけば3ヶ月後にはザックの気持ちを受け入れ、6ヶ月後には彼の妻になっていた。
前の恋愛のせいでザックの心変わりを心配するメイに、ザックは『嫉妬するとか可愛すぎる』とベタベタに可愛がり、『そもそも心変わりできるなら6年もしつこく片思い出来ない』と説得し、あれよあれよと言うまに結婚していた。
友人たちには「男を見る目がない、ユーリとザックじゃ雲泥どころかもはや害虫と人レベルで違う」とか、「ザックのあの態度に気づかないとか女として残念すぎる」とか散々言われたが、幸せそうなメイを祝福してくれた。
ザックは家にいる時は家事を分担し、メイも仕事をしているんだからと労ってくれる。
お互いに想い合い、尊重できる関係はこんなに幸せなものかと、メイはしみじみ思うのだった。
幸せな毎日を送るメイの元に、ある日、懐かしい客が来た。
冒険者ギルドに恐る恐る入ってきたその人物は、カウンターで他の冒険者と談笑しているメイにふらふらと近づく。
「…メイ」
そこには、半年前にメイを捨てて隣町に行ったはずのユーリがいた。
痩せ型だった筈なのにでっぷりと太り、艶々だった蒼髪はパサパサに痛み、何故か頭頂部が薄くなっている。
ユーリはまだギリギリ20代のはずだが、今年30歳になる夫より年上に見えた。まあ、ザックが若々しくてカッコいいので比べてもしょうがないが。
「会いたかったよ。やっぱりオレにはメイしかいないんだ!過去のオレを許してくれ!」
脳内で1人惚気ていたメイの様子には全く気づかず、ユーリは彼女に駆け寄り、手を握った。
反射的に、メイは足元の『ギルド緊急時用スイッチ』を蹴っていた。ギルド職員に危険が起きた時、カウンターの足元に設置されたスイッチを押せば、ギルドが報酬を払って待機させている冒険者が駆けつけるシステムだ。待機番はC級以上の冒険者が交代で雇われることになっている。
バタンッガタガタガタッと2階の待機部屋から本日待機番の冒険者が駆け下りてくる。
「メイっ!大丈夫か?テメェ、何してやがるっ」
本日の待機番のザックは、メイの手を握るユーリに気付くと腰の剣を抜いた。
本気で怒っているザックの冷たい殺気に、メイは心底びびった。
「ザック、ごめんなさいっ。ビックリして思わずスイッチを蹴っちゃったの。手を握られただけだから」
「よし、殺ろう」
「ヒィイィィイィ」
増した殺気にユーリはメイの手を離し、へたり込みながらも逃げ出そうと尻を引きずって出口へ向かう。
「え?なんで?ザック、誤解だよ、何にもされてないって」
「手を握られたんだろ?極刑だ」
「落ち着こう?」
必死でザックを止めるメイに、ユーリは何やら自信を取り戻したのか、立ち上がって近づいてきた。
「な、なんだ、お前はメイに付き纏ってたあの冒険者じゃないか」
ふふん、と優越感に浸りながら、ユーリはメイとザックを見比べながら言う。
「メイ、俺がお前を振った時、コイツに口説かれたんじゃないか?」
にやにやしながら、ユーリは続けた。
「コイツにな、あの日、『メイを振ってやったぞ。今なら失恋につけ込んで誰にでも落とせるから、声を掛けてみたらどうだ?』って言ってやったんだ。本当に口説いたのか?」
「―!ちがっ」
気色ばんで否定するザックに、メイは視線を向ける。
「え?違うの?自分で認めてたじゃない」
「へ?」とポカンとするザックに、メイは呆れる。
「だって、私にこっ、告白っしてくれた時、ずっと『失恋につけ込んで卑怯な事してるって分かってるけど、気持ちが癒えるのなんて待ってられない。他のヤツに取られるぐらいなら、つけ込んででも俺のものにしたい。絶対後悔させないから』って言ってたじゃない」
顔を赤らめるメイに、ザックは手で顔を覆って「あー、言った」と恥ずかしそうに呟く。
何となく2人の間に甘い雰囲気が漂い、当事者のユーリはともかく、ユーリが近づいてきたとき、たまたまメイと話していただけで、巻き込まれて逃げ出すタイミングを失った冒険者A(仮)が気まずそうにソワソワしてる。
冒険者Aは食堂の方から興味津々な様子でこちらに聞き耳を立てている仲間の元に混じりたいと、切実に思っていた。
「め、メイ?半年前までは、あんなにオレを愛していてくれたじゃないか。そんな男放っておいて、俺とやり直そう」
「え?ユーリ何言ってるの?奥さんいるでしょ?」
「別れたんだ!非道い女だったんだ、ミーアは!」
ユーリが唾を飛ばしながら説明する。
「あいつ、俺の妻になったのに、俺の食事の用意も洗濯もしないし、部屋はゴミ溜めみたいに汚いんだ!二言目には『私だって働いているんだから』って言うんだぜ。働いているから俺の世話が出来ないなんておかしいだろ!メイは働いていてもちゃんと家の仕事もやってたのに」
栄養バランスよりも手抜き重視なミーアの料理で、ユーリの体重は激増し、ストレスのせいか頭髪まで寂しくなったと言う。また、ミーアとの喧嘩が絶えず、とうとうミーアは離婚して家を出て行ったらしい。
「……」
メイは思い出す。そういえばユーリと付き合っている時は、家事は全部メイがやっていた。ユーリの世話をするのが好きだったから。
「だからメイ!俺と結婚しよう」
手を伸ばすユーリ。
固唾を呑んで見守る冒険者Aと、食堂のギャラリー。
メイは、傍に立つザックを見る。
ザックは何か痛みを堪えるような顔でメイを見ている。
それを見て、メイは決意する。
ちゃんとユーリに向き合わなくては。
6年の間、ずっと一緒にいた人なのだ。
「ユーリ、私ね、あなたと結婚したかったの。あなたが好きだったから。あなたと結婚したら、幸せになれると思ってたから」
「メイ、じゃあ」
パァッとユーリが顔を輝かせる。メイの側に立つザックに、優越感を滲ませた視線を向ける。
「でも、それ勘違いだったの」
「は?」
続くメイの言葉に、ユーリはポカンとする。
「私ね、最初は確かにあなたが好きだったの。結婚したかったのも本当よ。でもね、それは周りの友だちがどんどん結婚していって、私の年齢的にも結婚するのが当たり前だったし、6年もあなたと付き合ってたからあなたと結婚するのが当然だと思ってたからなの。でもね、あなたに捨てられた時、もう絶対男なんて信じるもんかって思って、結婚なんかするもんか、1人で生きてやるって思ってたのにね、」
にこり、と微笑んで、傍のザックを見上げる。
「ザックと一緒にいると、幸せな気持ちになるの。ザックはね、私のことをよく見てくれるの。私の話を聞いて、一緒に考えてくれるの。私、家事をするの好きだから、1人でやるのは平気なんだけど、私も仕事していて大変だからって一緒にやってくれるし、それ以上にたくさん言葉をくれるのが嬉しいの。『ありがとう』とか、『美味いよ!』とか、『嬉しいよ』とか、『大丈夫か?』とか、『助かるよ』とか、『今日は俺の番だ』とか。何気ない言葉だけど、喜んで貰えて、頼られて、気遣ってもらえてとっても嬉しいの。
結婚なんてしないって思ってた気持ちが、ザックとずっと一緒にいたいって思って、ずっと一緒にいるなら結婚したほうがいいかなぁって思えるようになったの。
結婚って、しなきゃいけないって思ってするものじゃなくて、したいなぁって思った時にした方が幸せになれるのね」
フフフ、とメイは幸せそうに笑う。
「まだ結婚したばかりで、まだ始まったばかりだけど、ずっと一緒にいて、結婚してよかったって思えるようにがんばろうね、ザック」
「メイっ」
ぎゅうっとメイを抱き締めると、ザックはメイの髪に顔を埋めて言う。
「俺頑張る。俺の全部で、絶対、メイのこと幸せにする」
「もぅ、2人で頑張ろうって言ってるでしょ」
「うん…、うん…、頑張る」
「もー」
イチャイチャする2人に、ユーリは呆然として言う。
「そ、そんな。メイ、結婚したのか?その男と?」
「あ、うん。新婚ホヤホヤよ」
メイはぎゅうぎゅうザックに抱きしめられながら、ユーリに答えた。
「そんな、俺は遅かったのか…?」
「いや?私、浮気はダメだから、ミーアちゃんと結婚するーって言われた時点であなたとはぜっっったい結婚はしなかったわ」
「俺は間違ってたのか?ミーアに惑わされなければ、今頃君と結婚してたのか…?」
「散々結婚渋ってたじゃない、何言ってるの。それに、もしうっかりあなたと結婚してたら多分、こんなに幸せじゃなかったわ。そう考えるとミーアちゃんぐっじょぶよねー」
ばっさばっさとメイに切られ、ユーリは覚束ない足取りで冒険者ギルドを出て行った。
冒険者Aもこの隙にと、まだぎゅうぎゅう抱き合ってる2人の元から離れ、仲間の元に戻った。
「いっやー、あの『素材の査定は一流なのに男を見る目はポンコツ』のメイちゃんが、変われば変わるもんだなー」
「ホントになー。『鑑定』スキル持ってんのに、なんで男に使わないんだって言われてたあのメイちゃんがなー」
「しっかしホントに阿呆な男だったな。あれと6年も付き合ってたメイちゃんもスゲェよなぁ」
「どMなんじゃねぇ?それかダメ男好き」
『ギャハハハハ』
ザックにまだぎゅうぎゅうされていたメイは、額に青筋立てながら笑顔でザックの腕から抜け出すと、腰に手を当てて食堂のギャラリー達に向かい合う。
「お褒めに預かって嬉しいわぁ。皆さんの素材の査定、明日からも念入りに厳しくさせてもらいますね」
食堂にまた野太い悲鳴が上がったが、幸せなザックの耳には聞こえていなかった。
蛇足だが。
ユーリは隣町のフリード商会の支部長から平に降格になったという。
理由は明らかになっていないが、カロットの街のA級冒険者を含む冒険者全員と、カロット冒険者ギルドが、今後はフリード商会に素材を下ろさないと宣言したことにより、その理由を知った不誠実なこと大嫌いな商会長が、降格の指示をしたという。
現在、カロット冒険者ギルドとフリード商会の仲は良好であり、取引も通常にもどっているが、この出来事は、カロットの街の冒険者たちと、冒険者ギルドの結束の固さを物語る逸話の一つとなっている。
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