出港!
買い物を済ませ、水を汲み、再び戻って来ると船の周りには人だかりが出来ていた。
俺の名やラムセスの名、ノーザンライツを称える声を上げながら人々が見送りに来てるのだ。
ってか人が邪魔で船に乗れない…。どうしたものかとユリを見るが首をすくめられてしまう。
仕方なくラムセスを見るとラムセスは頷く。そして
「此処に宣言する!私はノーザンライツと共に黒海賊のせん滅を誓おう!」
ラムセスがそう宣言するだけで集まっていた人々が歓声や拍手を上げる。
(なるほど…普通国王が海賊になるだなんてあり得ないもんな)
建前的には一番の理由。かっこいいなぁと思いつつ、ユリを見るとほっとしたように胸を撫で下ろしていた。
「新しき時代へ!さぁ、皆の者…我々の門出を祝ってくれ!」
人の群れが割れ、アウロラ号への道が開けられる。
(あぁ、よかった。俺とユリじゃなんも出来なかった…さすがラムセスだな。退けって言わずに道を開けさせたよ…)
その道をまるで貴族か王族にでもなったような気分で通り、船に乗り込む。
「ノーザンライツ団に栄光あれ!」
誰かがそう叫ぶと皆一斉に同じように叫ぶ。
「ノーザンライツ団に栄光あれ!」
その言葉に送り出され、俺達は王都の港を出港する。