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洞窟の調査(1)

【今回の登場人物】

国王様…国王様

「なるほど……ここまで証拠が出揃っている以上無視する訳にもいかないな。それにレイク村の湖は隣国とも繋がっている……魚の異変についてもやや気になる所ではあるな」


 レイク村での出来事を聞き、証拠となるドライブレーコーダーの映像を見た国王様は眉をひそめ難しい表情になった。確かにハイウルフの首輪に付いている紋章は隣国の物で間違いないらしいが、何か腑に落ちない様子をしている。


 実を言うとその違和感は俺も薄々感じていた。


 何がおかしいのかと言われれば上手く説明する事はできないが、この一連の出来事の中で何かがおかしいようなそんな気がしてならない。



「シュウ君、以前にオーラド村の村長がハイウルフを手懐けて旅人を襲っていたという事件があったのを覚えているかね」


「はい」


「実は王宮でもハイウルフを調教して戦力に使おうという計画が持ち上がっていた事があってね」


「はい、同行していた兵の方からその話は聞きました」


「あれは王宮の一大プロジェクトとして行われたのだが結局失敗に終わってしまった。だから魔物を手なずける難しさは我々が一番良く知っている。とても無知識の村長が簡単に手懐けられるといった代物では無いのだよ」


「それについては当時俺達も少し疑問に思っていました」


「そこで村長を王宮へと呼びつけて詳しく話を聞いたんだが、どうも気になる事を言っていてな。最初その魔物達は首輪のような物を付けていたそうなんだ」


「首輪!? まさか紋章付きの……」


「いや、首輪はだいぶん汚れていて村長もそこまでは覚えてないそうだ」


「でも、だとすると……」


「そう、今回の事件と繋がっているかもしれない。もしかしたら調教されていたうちの何匹かが逃げて、それをたまたまオーラド村の村長が……という可能性もある」


 最初は単にハイウルフに家族が連れ去られたというだけの単純な事件かと思っていたが、どうやらこれは相当根が深い事件のようだ。


「よし、すぐに武装した兵を手配しよう」


 危険すぎるという理由で今回クラちゃんは王宮でお留守番する事になり、代わりに武装兵を十五名手配してくれる事になった。


 村で待っている三人の兵と、恐らく同行するであろうラフロさんを合わせれば合計十九名。それだけいれば洞窟の捜索もリスクは低くなるだろう。


 国王様が指示をしてからは早かった。


 バスの周りには武装兵が十五名すぐに集まりトランクルームには武器が次々に積み込まれてゆく。とは言ってもここは異世界、文明もそこまで発達している様子は無く飛び道具や弾薬などは見当たらない。


「シュウ君、今回の件は国家間の問題である可能性が高い。危険も伴うし調査から降りてくれても構わないがどうだろう」


「有難うございます国王様、ですがせっかくここまで調査したので最後までお付き合いしますよ。ただし俺達は対魔物と運搬だけで対人戦は兵の皆さんにお願いします」


「それは当然だ。協力に感謝するよ。全てが片付いたら報酬は支払うのでどうか宜しく頼む」


 そう言うと、念の為にと国王様は俺とミスズの分の防具と短剣も手配してくれた。


「あの国王様、一つお願いがあるんですが……」


 俺のお願いというのは雑貨屋”旅のしっぽ”の事とミスズの事だ。今回の件は予想以上に長引きそうなので暫くお店に戻る事が出来そうにない。


 店番をして貰っているムツキ、そしてミスズのお父さんであるマルセルさんにも状況を説明しておかないと無駄に心配をさせてしまう可能性がある。しかし残念ながら今はその時間が無い。


 そこで代わりに王宮から誰か遣いを出して事情を説明して貰えないだろうかという事だった。


「そんな事なら何の問題も無い、私からラマノ商会と店にはしっかりと説明しておこう」


「有難うございます」


「そして念の為に今回の十五名以外にも王都から追加の兵をレイク村へ向かわせるようにしよう」


 その言葉を聞いて安心した俺は、国王様とクラちゃんに見送られながら王宮を後にした。


 バスに乗った兵達の反応はやはり他の人達と同じ。王宮の馬車とは比較にならない乗り心地にしばしの旅路を楽しんでいる様子だ。

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