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ハイウルフの討伐(1)

【今回の登場人物】

村長…オーラド村の村長


「じゃあ私達だけで行って来ますので巣の場所を教えて頂けますか?」


 それなら仕方ないと村長は地図を引っ張り出し、詳しい巣の場所と特徴を教えてくれた。


「それじゃあ巣に向けてしゅっぱーつ!」


 いつもの通り、全く緊張感の無い掛け声で俺たちは村長の家を後にした。


「村長なんで来なかったんでしょうね」


「いやそりゃBランクの魔物の巣に()(この)んで行く人はいないでしょう」


「まあそう言われればそうですけど」


「巣穴の前で待機して、もし魔物が出て来なかったら今日はバスで野営になるかもしれないな」


「なんだかワクワクしますねっ」


 この()は一体何を言っているんだろう。


 以前のキングボア討伐時にお留守番となった事で色々と思う所もあるのかもしれない。しかし何度も繰り返すがこれから高ランクの魔物の巣へ討伐に向かうのだ。


 確かにバスにはおやつも積み込まれているけど、決して遠足に行く訳では無い。


「このあたりかな」


 オーラド村を出て森の中に入り少し進んだ所でバスを停車させた。たぶん村長から貰った地図の示す場所はこの辺りで合っている筈……。


「あれじゃないですか?」


 ミスズが指さす方向を見ると岩の隙間に小さな穴が開いている。地面には足跡のような物が無数についているのであれが巣で間違いないだろう。


「それでここからどうするんですかっ!?」


「ここに来るまでハイウルフには会わなかったから今も巣にいる可能性は高い。撒き餌作戦と威嚇作戦で行こう」


 いかにもそれっぽい作戦名を言ってみたが、村長からもらった餌をばら撒いてクラクションで威嚇するだけの簡単なお仕事。


 まずはバスの周りにエサを十分に撒き、辺りをキョロキョロ警戒して魔物が居ない事を確かめた俺はバスから降りて巣に近い方にもエサを仕込んできた。


「……しばらく待つか」


 往路で魔物と遭遇していない事もあってこの時バスの燃料は残り半分を切っている。



――来ないですね


 待機を始めてもう一時間は経ったかもしれない。巣に変化はなく、警戒されているのか森はしんと静まり返って魔物が現れる様子は全くない。


「一度威嚇してみようか」


 餌につられて出て来る事を期待していた俺だったが、こうなるともう穏便には済ませられない。


≪ブァァァァァーン≫


 威嚇音(クラクション)を思いっきり鳴らしてみたがやはり反応はなく静まり返っている。


「……留守なんじゃないでしょうか」


「俺も何となくそんな気がする」


 もしかすると、もうこの村に見切りをつけて他の餌場へ移動してしまったのかもしれない。しかし成果無しで村へ引き返す訳にも行かず、選択肢は二つ。巣の中を覗いてみるかひたすら待つか。


 ちょっと巣を覗いて来るよという俺の提案はミスズによって即却下され、行き詰った俺たちはただひたすら待つ事になった。


「もう暗くなってきましたね……村長は魔物が大量にって言ってましたけどまだ一匹も見ていませんしどうなっているんでしょう」


「さすがに俺達を騙しているようには見えないし」


「そうですよね、アレンさんも同じような事を言っていましたから魔物が出たって事は本当なんでしょうけど」


 ミスズの言った "魔物が出たって事は本当" という部分が俺には若干引っかかったが今は何もできる事が無い。たまたま魔物が狩りに出かけているだけなのかもしれないし、今夜はバスで野営して明るくなってから次の行動を考えよう。


 燃料がだいぶん減ってしまった事もあり俺はバスのエンジンを一度切る事にした。この状態では魔物に対して無防備、魔物を見つけ次第すぐにエンジンをかけよう。


 私も一緒に起きていると言ってくれたミスズだが、疲れた様子だったので仮眠を取って貰う事にした。

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