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共同出店計画(2)

【今回の登場人物】

シュウ…バスと一緒に転移した主人公

ムツキ…王都へ上京し雑貨屋開店を目指す少女

マルセル…ミスズのお父さん&商会のトップ

クラ…国王様の孫娘

 王都へ到着し、黒猫亭の二階へムツキの荷物を運ぶ作業がやっと終わった。さすがに往復八時間の運転と荷物運びは体力を消耗する。


 ムツキが黒猫亭の二階、つまり俺の隣の部屋へ再び住む事にミスズは何故か不満そうだったけど、まだお店も見つかっていない以上は仕方ない。


 渋々納得した様子のミスズは “シュウ君に変な事しちゃ駄目ですからねっ” と、謎の言葉をムツキにかけていたけど、まさかムツキってそんな危険人物だったのか!?


 ここで俺の体力は限界を迎え、マルセルさんの所へは明日経緯を話しに行く事にして貰って俺はベッドへと潜り込んだ。



翌朝 ――


「どうもご無沙汰しております」


 俺は予定通りミスズの屋敷を訪れ、久しぶりに会うマルセルさんへ挨拶と共にハラジクで買った手土産を差し出した。


「久しぶりだねシュウ君、ミスズから話はだいたい聞いているよ。ふつつかな娘だがどうか末永く宜しく頼みます」


「えっ、あっ、はい、こちらこそ……」


 明らかに言い回しが変だったけど、一体ミスズはなんて説明したんだろう……。


「ところで店舗を探しているそうだが、どこか心当たりはあるのかな」


「いえ、まだ具体的な話までは進んでおらず全てがこれからです」


「そうか……まあもし物件探しで困ったら相談に乗るからいつでもおいで」


「有難うございます。でも今から俺達が開こうとしているのは一応雑貨屋です。ラマノ商会にとって敵対する店なんじゃないでしょうか」


「大丈夫大丈夫、私達の取引先は王都だけじゃないし、そもそも小売りより卸しが専門だから君たちの雑貨屋にも是非商品を卸したいね」


「そういう事であれば……ちなみに王都でお店を開くには許可とか必要なんでしょうか?」


「いや、そんな話は聞いた事無いから自由にやって大丈夫だよ」


 雑貨の販売はムツキの担当だから俺が何かするような事は無いけど、マルセルさんがこう言っていた事は一応伝えておこう。


 お礼を言って屋敷を後にした俺が黒猫亭へ戻ると、そこにはクラちゃんがいてムツキと一緒にケーキを食べている。なんという絶妙なタイミング!


「こんにちは」


「あ、ふゅーはんふぉんねひわ……」


 多分挨拶したんだろうけど、口いっぱいに詰め込んでモソモソ食べているクラちゃんは何を言っているのか分からない。そんな彼女に代わってムツキが説明してくれた。


「私が戻って来るって聞いて遊びに来たんだって」


「いいけど王宮には……」


「大丈夫です! 今回は本当にちゃんと許可も貰ってから出てきましたから。近くで馬車も待っていますし」


 ケーキを食べ終えたクラちゃんは自信満々にそう言い放つ。やや気になる言い方だったけど今までは大丈夫だったのかな……今度王宮の人にも時々来ている事をこっそり伝えておこう。


「じゃあムツキから王都でお店を開くという話も聞いた?」


「はい、そりゃもう王宮をあげて応援とバックアップをさせて頂きますから」


「いやそこまでしなくて大丈夫だよ」


 えー……っと少し残念そうな表情のムツキとクラちゃん。気持ちは有り難いけど、さすがにそこまで大事にはしたくないから大丈夫です。


「……あっ、そうだ。王都でお店を開くには国王様の許可が必要なんですよ! だから私と一緒に王宮へ来てください!」


 今クラちゃんが聞き捨てならない台詞を言ったような気がする。王都で店を開くには許可が必要とかなんとか。


「許可がいるの? 本当に?」


「ほ……本当です! ……たぶん」


 確かさっきマルセルさんは必要無いって言っていた筈なのに……。しかしこう言われてしまうと断る訳にも行かないので、俺とムツキはクラちゃんに連れられ王宮へと向かう事になった。

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