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キングボア大量発生の理由(5)

【今回の登場人物】

シュウ…バスと一緒に転移した主人公

ネネ…シュウが住む黒猫亭のオーナー

クラ…森で保護された記憶を失っている少女

「これ、ハラジクの街で買ったお土産です、皆さんで飲んでください」


 そう言って俺は王都の門の守衛さん達へ買って来たお酒を渡した。馬車で何日もかかる場所から危険を冒して重い酒類を運んでくる商人はほぼおらず、その街まで行かなければご当地酒というのは飲めない。


 ただしバスがあればそれも例外になるので、いつも色々とお世話になっている守衛さん達にはこうして時々お土産を差し入れている。決して賄賂とかではない。


「いつも悪いね」


 そう言うとお酒を大事そうに抱え、手続きを兼ねて一度裏へと入って行った守衛さんと入れ替わるように、朝俺たちの対応をした守衛さんがやって来た。


「朝言ってたクラという少女についてだけど、思い当たる事があるんだよ」


「本当ですか?」


「ああ。実は数日前から王様の孫にあたる娘の一人が行方不明になっていてね。こんな事が広まれば良からぬ事を考える者が出たり、信用問題にも発展しかねないという事で公にはされず内密に捜索しているらしいんだが……」


「クラちゃんが王様の孫娘って事ですか!?」


「いや、それは分からない。何しろ俺たちも詳しい容姿や名前は聞かされていなくて、王宮関係者を名乗る少女、もしくは身元不明の少女が門を出ようとしたら保護する事としか通達が来ていないんだよ」


 その理由を聞くと、昔、森ではぐれた貴族の子供を探す為に詳細を公表した所、便乗した誘拐事件に発展してしまった事があり、それ以来、権力者の公開捜索というのは最終手段になっているらしい。


「それでな、確か王宮にクラっていう名前の少女がいたような気がしたんだよ。だからまだお嬢ちゃんの記憶が戻っていなければ俺から一度王宮に連絡してみるから教えて貰えないか」


「分かりました、一度自宅に戻ってクラちゃんの状況を確認してからもう一度こちらに伺います」


「そうしてくれると助かるよ」


 直接王宮に行けというのではなく、自分に教えて欲しいというのは、迷子の孫娘だった場合に大きな手柄となって衛兵さんの今後の評価にも繋がるからなんだろう。


 どうせ俺には関係の無い事だし、その程度は何の問題も無いので、俺は一度ミスズの所へ戻った後もう一度ここへ戻って来る事にした。


「お疲れさまでした、じゃあ荷物を下ろしましょうか!」


 黒猫亭の前へバスを止めた俺はトランクルームを開け、さっきネネさんが購入して来た様々な物をお店の中へ運び入れた。


「ありがとう、ホント助かったよ。やっぱり馬車の旅とは比べ物にならないね~」


「馬車で買い付けていた時は二週間近くお店を閉めていたんですか?」


「ん~閉める時もあったけど、知り合いに留守の間の営業を任せたりしてたかな。まあまた宜しくね!」


 とても満足そうなネネさんだったが、今日の俺には色々とやらなければいけない事がある。早々に切り上げ、ミスズの屋敷の奥まった場所へとバスを移動させた俺は、まずドライブレコーダーを確認する事にした。

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