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商品の納入はお任せ下さい(3)

【今回の登場人物】

リン、ロン、フィル……武術学校を卒業した新米ハンター

「どうしたんですか?」


 俺は運転席横の窓を開け、駆け寄って来る彼らに話しかけた。こちらは武器と言う武器を持っていない以上、素性も分からず武装している人物達と接触するのにいきなりバスのドアを開けるのは危険すぎる。


 しかも彼らは全員フードを深くかぶっており顔が良く見えない。


「た、助かった……私達は新米のハンターなんですが狩りに出ていた所で道に迷ってしまって……食料が尽き高ランクの魔物の襲撃を受けて必死の思いで逃げていた所です」


 俺とミスズは顔を見合わせた。どうやら危険な人物達では無さそうだけど……ここってレイク村のすぐ近くだったよね……確か歩いても数十分で村の入り口が見える位の。それに……


「あなた達はどこから狩りに出たんですか? ここはレイク村のすぐ近く、とても迷うような場所ではないと思うんですが……」


「「「れ、レイク村!?」」」


 三人のハンター達は驚いたような声をあげた。どうやらフルーテの街から狩りに出かけ森の中を延々とさ迷ってここまで来てしまったらしい。


「フルーテから来たんですか!?」


「「「はい……」」」


 俺とミスズはもう一度目を見合わせ頷き合った。「この人たちをフルーテの街まで乗せて行っても大丈夫かな」「念の為に武器だけ回収しておけば大丈夫だと思いますよっ」 ほぼ毎日のようにミスズと一緒にいるお陰か、これだけの会話を一瞬の目くばせだけでできるようになってしまった。


「俺達はこれからフルーテの街まで行く所だったんです、その荷車を一緒に運ぶ事はできませんが皆さんだけでも良ければ乗って行きますか?」


「「「ありがとうございます!!」」」


「それともう一つ、この乗り物に乗っている間は武器を預からせて貰う事になるけど、それは良いかな」


 少し渋ったような反応を見せた三人だったが、すぐにそれも承諾し装備を解き始めた。こんな場所で迷うなんてちょっと不自然と思っていたけどどうやら本当だったらしい。


 俺はバスのドアを開けて三人を車内へ迎え入れた。


「あなた達はバスの事を知っていたんですか?」


「バスって……そういえば街の噂で聞いた事があるような気がします」


 ああ、知らなかったんだ……。それなのにこうもあっさり乗り込むとは、よっぽど追い込まれていたんだな……。


「えっ、えっ、えっ!! もしかしてこれが噂のバスなんですか!!こ、こんな素晴らしい物に乗せて頂き感謝します!!」


 驚いたような声をあげ三人のハンターは深々と被っていたフードを脱いで深くお辞儀をした。


「「えっ、女の子!?」」


 そしてそれを見た俺とミスズは思わず叫んでしまった。物々しい防具を装備し武器を持っていた事、そしてハンターと言う先入観で男と思っていたが、フードの中から現れたのはまだ成人もしていないような若い女の子だった。


 年齢的にはミスズより少し上と言った所だろうか。彼女たちは、リン・ロン・フィルと名乗りフルーテにある武術学校を卒業した三人で魔物を狩る訓練に出たのだという。


 今回はマルセルさんの依頼で大量の荷物を座席にも積み込んでいるので、残念ながら三人に座って貰える席は残っていない。


「申し訳ないんだけど見ての通り荷物が多くて座席が使えないんだ……フルーテ領までだったら二時間……って言っても分からないか……。日暮れまでには着けると思うから、しばらく通路に立ってて貰うか、そこで座っていて貰えないかな」


「分かりました、これでも十分です。ありがとうございます」


 そう言うと女の子たちは中央の通路に座り込んだ。


「……ねえシュウくん」


「……うん、わかってる」


 俺は座席に乗せられていた荷物を通路やバスの入り口近くに移動し、何とか座席を三か所確保した。バスの通路に三角座りで座る彼女たちを見ていると何とも可哀そうな気持ちになってしまうのである。


「では改めてフルーテ領へ向けしゅっぱーつ!」

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