表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
121/143

レイク村の夜(3)

【今回の登場人物】

ムツキ…"旅のしっぽ"の共同出店者

ミツカ・ヨツカ…レイク村で宿屋を経営する姉妹

 少しして顔を真っ赤にしたミスズと、平静を装いつつもやや動揺しているムツキが部屋に戻って来た。さすがにいきなりドアを開けちゃったのは良く無かったかな……でもあれは緊急事態だった訳だし。


「さっきはごめん、魔物に襲われているのかと思って慌てっちゃって」


 もう一度謝っておく事にした。


「い……いえ、助けに来てくれたんですものね、有難うございますっ。私たちの方こそ紛らわしい悲鳴を上げてごめんなさい」


 話を聞くと、お風呂場の中に黒く光沢がありカサカサ動く小さな生き物が現れたらしい。特に毒を持っている訳では無く実害は無いけど気持ち悪さと恐怖で悲鳴をあげてしまったという。


 ああ、この世界にもアレいるんだ。


 その後ヨツカによってその生き物は瞬殺された。こんなものいちいち怖がっていたら宿屋なんてやってられないと言っていたけど、俺はまだこの世界に来て一度も遭遇した事が無い。


 もしかしたら今までネネさんが撃退してくれていたのかな……。


「も、もうそろそろ寝ようか?」


 とにかく二人に危険があった訳じゃないと安心した俺は、さっきの出来事を思い出し途端に恥ずかしくなってきてしまった。


「そ、そうですね寝ましょう」


「寝ましょうっ」


 そう言うと二人はベッドに入って来た。が、何で俺が真ん中になってしまったんだろうか……。俺がベッドの真ん中に居たのがいけなかったのかもしれないけど……


 その夜俺はほとんど眠る事が出来なかった。


 右からはミスズの髪からほんのり甘い香りがしてくるし、左側にいるムツキは寝相が悪くずっと俺の腕にしがみついている。こんな経験の全くない俺には刺激が強すぎる夜だった。



《 ヴギャァァァ~! 》


 翌早朝、ムツキの悲鳴のような大声で俺とミスズは目を覚ました。


「「な、なに!?」」


 ベッドから飛び起き、まだ状況を把握できていない俺とミスズは辺りをきょろきょろと見回し顔を見合わせた。そういえば昨日もこんなんじゃなかったっけ……横ですやすや眠るムツキを見て俺とミスズは思った。


 後から話を聞くと、枕投げをしている最中、枕の中から例の生き物がカサカサと出て来る夢を見たらしい。この枕投げに対する執着は一体何なんだろう。


 今日はここでの予定も特に無いので朝食が済んだ後、国王様を迎えに行ってそのまま王都まで帰る。まあ、もう魔物の深夜徘徊も無くなった事だし、また湖水浴ツアーをやっても良いかな。


 ここの食事は朝食も新鮮な魚が多くとても美味しい。国王様もお墨付きの味なので前回のツアー時だって料理の評判もとても良かった。


 でもその前にミツカとヨツカには宿の徹底清掃をして貰って、奴が出ないようにして貰わないとお客さんからの評価が下がってしまう……


 着替えを終えた俺たち三人は朝食の為に一階の食堂へと降りた。


「「「おはようございます」」」


 今日の朝食も隣の湖で取れたという新鮮な魚介類が中心になり、山菜料理もいくつか見られた。そういえばこの山菜は誰が採りに行ってるんだろう?俺はちょうど近くにいたヨツカを捕まえて聞いてみた。


「私です。毎日じゃないんですけど、時々山に入って山菜やキノコを集めているんですよ」


「ヨツカが!?」


「でも山へ入る時はミツカも一緒ですけどね。それでこの間うっかり魔物に襲われてしまって……毒に侵されて寝込んだ私を助ける為にヨツカが王都まで薬を探しに行ってくれたんです」


「ああ、そして俺達と出会ったって訳か」


「はい」


 …………


「えっ、この辺りって毒を持つ魔物がいるの?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

お読み頂き有難うございます。

日刊更新を目指し頑張りますっ! 皆様からのブックマークや評価・感想などが執筆の励みになっております、どうもありがとうございます。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ