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レイク村の夜(1)

【今回の登場人物】

ラフロ…レイク村の守衛。山で家族を魔物に連れ去られる。

ラフロさん親子…ハイウルフに連れ去られ、逃げ延びて隣国で保護された親子


ムツキ…"旅のしっぽ"の共同出店者

ミツカ・ヨツカ…レイク村で宿屋を経営する姉妹

 まず今回の事件が野生の魔物による単なる襲撃では無いという事を伝え、村で起こった事や隣国が関係している可能性、その件についての会談の為に隣国を訪れていたという事を順番に説明して行った。


 特にこれらの事は機密事項という訳では無く、ラフロさんや守衛さん達は既に知っている事。そもそも当事者だし、どうせ後日耳に入るだろうという判断からだ。


 一連の話を聞いた奥さんはあまり驚かなかった。


「まずは山菜を採りに出かけ、魔物に遭遇した時の事について教えて頂けませんか」


「あの日は夫と家族三人で山に入り、二手に分かれて私は娘と一緒に山菜を探していました。そしたら急に背後からハイウルフに襲われ……娘が足を噛まれてしまったので置いて逃げる事なんて出来ず……」


「魔物に捕まってしまったという訳ですか……」


「はい。娘は魔物の背中に乗せられ、私は服を引っ張られながら森の奥の岩場にある隙間へと引きずり込まれました。中は結構広くて奥まで続いており私が立ち上がっても頭が天井につかない位の高さはあったと思います。あの辺りは良く行くんですが、あんな洞窟があったなんて全く知らず……」


「「やっぱりあの洞窟!?」」


「洞窟の中にハイウルフ以外の魔物や人間はいませんでしたか?」


「はい、洞窟には他に何も居ませんでした。でも油の入った容器が置かれ火が灯っていたので、魔物以外の何者かが居たのかもしれません」


「そうですか……ではその後は?」


「隅の方に座らされた私達の周りをしばらくハイウルフ達がうろついていたんですが、洞窟の奥の方から遠吠えのような声が聞こえ、それを切っ掛けに三匹とも奥の方へと消えて行ってしまいました」


「じゃあその隙に?」


「はい、穴かあ抜け出し娘を抱えて必死に走っていたら道に迷ってしまったようで……それから何日かさ迷い歩き、疲れ果てて倒れ込んでいた所をキノコ採取に来ていたというケルンさんに保護されました」


「という事は、お二人はハイウルフ以外には何も見ていないという事でしょうか」


「少なくとも私は……先ほどお話した通り人間が居たような痕跡はあったのですが、それだけです。娘の方は分かりません」


 洞窟に人がいた痕跡があったというのは収穫だったけど、それ以外に決定的な証言を聞き出す事は出来なかった。この親子が何かを見てしまった事で、ハイウルフを使って口封じをしようと考えてた誰かがけしかけたのかと思っていたが、どうもそんな感じではない。


 いや、もしかすると本人達は無意識のまま何かを見てしまったのかもしれない。それか相手側が見られたと勘違いしたという可能性もまだ残っている。


 ひとまず今は娘さんの容体もあまり思わしく無いので、今後何か思い出した事があればレイク村の王宮窓口へ伝えて貰うようお願いしておいた。


 国王様達はまだ帰ってこないし、時間はもう夜の六時を過ぎている。


「これは……レイク村で一泊かな……」


「そうですねっ、ミツカちゃんの所へ行ってみましょう。あっでも国王様達はどうすれば……まさかあの宿に!?」


「王宮の支部に行くって言ってたし、先にそっちへ行って合流してから相談してみよう」


「分かりましたっ」


 ラフロとその家族へ別れを告げ、俺とミスズ・そして暇そうにしているムツキを乗せたバスはレイク村にある王宮の支部がある建物へと向かった。


 ここでは狩った魔物の買い取りなども行っており、小さいながらも詰所と比べると建物も立派。中で談笑する国王様達と合流し今後の事を相談すると、時間も遅いので今夜はレイク村で一泊していくとの事。


 さすがに、国王様とその護衛やメイドの方々は王宮支部で宿泊するという事で、俺とミスズ、ムツキの三人だけがミツカの宿へと宿泊する事になった。


 まあそりゃそうだよね。

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