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連れ去られた親子(2)

【今回の登場人物】

ムツキ…"旅のしっぽ"の共同出店者

ケルン…森で親子を保護したキノコ露店の店主

 俺とミスズは朝市が終わるまで近くをぶらぶらとし、ケルンさんのキノコ屋の店じまいを手伝った後で自宅へと案内して貰った。


「「おじゃまします」」


 家へ入るとベッドには幼い娘さんが寝ており、隣には母親らしい女性が寄り添っている。


「「おはようございます」」


 俺達に気づいた女性がこちらに軽く会釈をした。


「あの、ラフロさんのご家族の方でしょうか?」


 その言葉を聞いた女性はとても驚いたような表情を浮かべ、少し慌て気味にこう問いかけて来た。


「はいそうです! 主人は……主人は無事なんでしょうか!?」


「はい、ラフロさんは無事ですよ。ラフロさんからお二人を探して欲しいと依頼を受けまして、それに関係する事で今日はこの街へやって来たんです」


「主人から……」


 ハイウルフに連れ去られたと聞いて生存は絶望的だと思っていたが、隙を見て逃げ出した二人は奇跡的に生き延びていた。


 その後ケルンさんに森で助けられた物の娘のけがの状態が思わしく無く、それに加えてレイク村まで帰る為の護衛や馬車を手配する費用も無い為、途方に暮れていたと話してくれた。


「俺達は今日レイク村へと帰るんですが、お二人はどうされますか? 一緒に乗って行くというのであれば座席はありますが、娘さんの状況次第では村で待つラフロさんへお二人がここに居る事を伝える……という事も出来ますが」


「いえっ、私達も連れて行って下さいお願いします」


「「分かりました」」


 正式には国王様の護衛でこの国へ訪れている事を説明し、一度王宮に戻って事情を説明した上で帰る前にもう一度こちらの家へ立ち寄るという事を伝え、一旦この場を後にした。


「まさか二人が生きていたとはね……」


「私もびっくりしましたけど、でも良かったじゃないですかっ」


「ラフロさんの件が片付けばあとは国家間の問題だから俺達がどうこうって事でも無くなるな」


「そうですね、でもやっぱり今回の事件は不可解な事だらけですよ」


 サノワ王国の王宮へと戻って来た俺達が部屋に戻ると、そこにはやや怒り気味のムツキが居た。


「もう! 二人ともどこへ行っていたんですか!!」


 あの後しばらくしてから目を覚ましたムツキは二人が居ない事に気が付いた。


 でも荷物は置いたままなので、どうせトイレにでも行っているんだろうと大して気にしていなかった。


 しかし朝ご飯が運ばれてきても二人は戻ってこない。


 もしかすると王宮の中で迷子になって帰れなくなったのかもしれない……そう思ったムツキがこの事を王宮の人へ相談しようかどうか悩んでいた所にひょっこり俺達が帰って来た。


「ごめん、ちょっと朝市を覗きに行ってたら思わぬ事件に遭遇しちゃって」


「事件……ですか?」


「今回の件の、ほらハイウルフにさらわれたっていう親子が見つかったんだよ」


「本当ですか!? それは何よりでした」


 ムツキには今回の事件について詳しい事まで話していないので、こんな感じのざっくりとした説明になってしまったけど、それでも彼女は納得してくれたようだった。


「それはそうと今朝はなんか悪い夢でも見てたの?」


「そうなんですよもう! 本当っに恐怖でした」


 三人で寝ようとしていた時に俺がどうしても枕投げをしたいと言い出し、渋々承諾したらミスズと俺の二人から集中攻撃を食らったという夢だったそうな。


「やましい心があるからそんな夢見るんだよ」


 若干イラッとした俺は部屋を出て国王様の元へと向かった。

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